平成24年(2012)は、山県有朋が没して90年に当たります。有朋は、天保9年(1838)萩城下が建設された三角州の南東に位置する川島で生まれました。生家の南側すぐそばには、三角州を形成する大河・橋本川、また北側には三角州を横断する人工水路・藍場川が流れていました。有朋は、水に囲まれて育ちました。
有朋は21歳で松下村塾に入門し、その後、奇兵隊に入隊しました。明治維新後は、陸軍大将となり、2度内閣総理大臣をつとめました。有朋は絶大な権力を持った政治家・軍人でしたが、歌人や作庭家としても知られていました。有朋が生涯に作庭した庭は8つありますが、そのうち現存している庭園は、椿山荘・無鄰庵・古稀庵です。この3つの庭園は、萩の水景を原点としているといいます。
本展示では、「2筋の流れ」をキーワードに、これら3庭園と萩の水景との共通点を探り、有朋の萩への思いと作庭観を回顧します。