No.28 田んぼでの米の脱穀風景(昭和25年、前小畑)



田んぼでの米の脱穀風景(昭和25年、前小畑)

 戦後、日本の農業は農地解放によって地主が消えて大きく変わったが、米の生産量はなかなか戦前の水準に回復しなかった。大人も子供もひもじい思いをつづけ、「少しでも多く」と増産と供出率の向上が国民的な課題だった。米あまりの今では想像もできないが、お米は自由に買えない配給品だったのである。生産農家は誇りと使命感をもって仕事に励んだ。収穫の秋、脱穀してワラ束を投げる腕にも思わず力がはいる。写真のような光景はかつてはどこでも見られた、日本の原風景だ。すでに萩市の田んぼは川内では平安古などごく一部に猫のひたいほどしか残っていないが、この写真の前小畑には今も相当な田が広がっている。