No.31 珍しかった竹パルプの日東製紙萩工場 (昭和27年、椿東上野)



珍しかった竹パルプの日東製紙萩工場 (昭和27年、椿東上野)

 萩にも昔、高い煙突から煙をはきだす工場があった。その代表がこの日東製紙株式会社萩工場。戦後、県が雇用対策で工場を誘致したのに応じ昭和23年に建設した。建設地は大正時代に萩製糸株式会社の大工場があった所。これは萩周辺の養蚕業を生かす製糸工場だった。製紙の方は特産の竹を活用する我が国初の竹パルプ製紙工場だったが、操業間もなく工場排水の漁業補償や設備改善を迫られた。この危機を乗り切り設備の拡張もしたが、業績は上がらず約15年で操業を中止した。その後、大昭和製紙が受け継いで白板紙を製造したが、昭和50年に閉鎖。旧城下町の萩は地理的条件もあって、工場が育ちにくい土地柄らしい。