三見橋 (さんみばし)

■市報はぎ 平成8年(1996)3月15日号掲載



 三見橋は、国道191号から右に折れて三見床並に行く市道にあり、三見川に架かっています。山口県文書館所蔵の「府県道橋梁台帳」によれば、明治38年(1905)に県道萩小串線の道路橋として架けられた土橋を、大正3年(1914)に径間54尺(約16メートル)の石造りのアーチ橋(眼鏡橋)に改築したとあります。橋の長さは約32メートル、幅は3.5メートルで、規模の大きな石造の眼鏡橋です。地元の人の伝承によると、橋を建設するとき、アーチ形の木組を取り外すにあたり、せっかく積んだ石組みが崩れ落ちるのではないかと、作業員が木組を外す作業を躊躇したといいます。
 石造の眼鏡橋は九州には多いのですが、山口県内では数例しか見られません。それだけに、この三見橋は建造された年代は比較的新しいのですが、近代の交通施設の態様を後世に伝えている文化遺産としてたいへん貴重な橋ということができます。橋の真下から見上げると、アーチの曲線のシルエットが力強くも美しく、眼前に迫ってくるようです。今、橋のそばでは、江戸時代の一里塚が地元の人たちの手によって復元されつつあります。この一里塚は、萩城下から赤間関(現在、下関市)に至る赤間関街道にあったもので、唐樋の札場から2里16町(約9.5キロメートル)に当たります。江戸と大正という異なる時代の交通施設を現在に伝える史跡として、今後多くの人々に親しまれていくものと思います。