石 臼 (いしうす)

    萩の民具(1) 市報はぎ(平成2年)1990.5.1号掲載


     日本人の主食は米だといわれる。しかし、ほとんどの日本人が米の飯を食べられるようになったのはそう古い昔のことではない。
     穀物を磨り潰して粉にし、それを加工して食べるということがかつてはごくごく日常的に行われていた。その粉食に無くてはならぬものがこの石臼である。しかし、現在はほとんど使用されておらず(漬物石としては別…)、また使用法を知る人も少ない。
     普通は、半時計方向に回すのだがどのくらいの人がご存知だろうか。
     石臼は、上臼(雌臼)と下臼(雄臼)とからなっている。両臼の間には何条もの溝(目)が刻まれていて、穀物はこの溝の磨り合わせで粉砕される。
     この溝に注目して見ると主溝でいくつかに分画されている。萩市周辺では6分画と8分画の石臼が見られる。
     6分画は、九州や関東方面に多く見られ、8分画は近畿や中・四国に多く見られる。これらの種類の臼が萩近辺で見られるということは、北浦地方の文化を考えるうえで大変興味深い。