看 板 (かんばん)

    萩の民具(5) 市報はぎ(平成2年)1990.9.1号掲載


     看板は店の標識である。屋号や店の名や扱っている商品などが、人によくわかるように掲げられる。商店にとっては、販売商品の宣伝広告のために大変重宝なものである。
     看板は、江戸時代の初めに登場し発達したといわれている。商工業が発達し、貨幣の流通が盛んになる時代である。城下町萩においては特に商品を販売したい商店とそれを購入したい人が多数あったと考えられる。掲げられた看板も多かったことであろう。
     江戸時代中ごろから明治時代にかけて看板は、大型縦長の吊り下げ式の物が主体になる。風雨にあっても腐らぬように厚い欅(けやき)の板が多く用いられた。板に漆がけした物や商品を模した物もみられる。
     これらの看板は、普段は軒下に下げられているが、閉店時には取り外されて店の中に入れられた。現在、飲食店等で、閉店のことを「看板」というのはこの名残である。