算 盤 (そろばん)

    萩の民具(6) 市報はぎ(平成2年)1990.10.1号掲載


     「読み書きそろばん」と言い習わされるように算盤による算用は、かつての人びとにとって基本的な教養であった。それが計算機の急速な普及により、日常生活ではあまり利用されなくなっている。
     算盤は、16世紀に中国から伝来したといわれる。「そろばん」の名も算盤の中国音「スアンパン」がなまったものと考えられている。日本に現存する最古の算盤は1592年に使用されたという上二珠下五珠のものである。江戸時代初期には、上一珠下五珠のものが使用され始める。上一珠下四珠の算盤の普及は1940年(昭和15年)頃からである。
     かつての算盤の産地としては、長崎・博多・雲州(島根県)・芸州(広島県)・播州(兵庫県)・大阪・京都・大津等が有名であった。明治前後に算盤は次第に小型化するが、長崎・博多・播州では比較的大型で底高のものが作りつづけられたという。商家では、最近まで古い大型の下五珠の算盤の使用が見られた。