曲 物 (まげもの)

    萩の民具(7) 市報はぎ(平成2年)1990.11.1号掲載


     檜や杉などのごく薄い板材を、円形あるいは楕円形に曲げて底を取り付けた容器を曲物という。板と板との合わせ目は、桜の皮を帯状にしたもので縫い合わせる。
     萩市においては、この曲物の側面に、檜や杉の代わりに特産の真竹を用いたものが見られる。写真の面桶(めんつら 弁当箱、まげ、めんこともいう)もその一つである。
     曲物の種類は多く、面桶の他に飯櫃(いいびつ)・水桶・柄杓(ひしゃく)・蒸籠(せいろ)・盆等々が日常生活で用いられていた。
     面桶は、入る飯の量により一番・二番・三番と呼ばれていた。この写真は二番の面桶で、身と蓋とに詰め込むと五合の飯が入った。これは木挽職人等の重労働に携わる人びとが用いていたという。金属製の弁当箱になってからも面桶の楕円形は継承された。
     面桶の大型のものは飯をいれる飯櫃として用いられた。飯櫃は多く楕円形であった。円形の歪んだものを「いびつ」と呼ぶのは「飯櫃(いいびつ)」の形によるといわれている。