冷蔵庫 (れいぞうこ) 

    萩の民具(15) 市報はぎ(平成3年)1991.7.1号掲載


     写真の冷蔵庫は、電気冷蔵庫に対して氷冷蔵庫と呼ばれている。庫内上部に大きな角氷を入れ、その冷気で庫内を低温に保つ冷蔵庫である。
     家庭用の氷冷蔵庫が売り出されるのが、明治40年(1907)のこととされる。以来電気冷蔵庫が普及し始める1960年代まで、氷冷蔵庫は盛んに利用された。
     大きさや扉の開閉頻度にもよるが、家庭用のもので、だいたい1日に1から2貫目(3.75〜7.5s)の氷を消費した。コルク板や石綿を断熱材に使用し、密封構造としても、庫内の温度はせいぜい15度位であった。冷やすというよりも、腐るのを遅らせるために利用された。また、現在の冷蔵庫のように年中使用するものではなく、夏季必要なたびごとに、氷屋より氷を購入して使用していたようである。
     電気冷蔵庫が普及し始めた頃、製氷室で氷を得られることに驚いた者が「その氷をどこにいれて冷やすのか」と言ったという笑い話も伝わっている。