八朔人形 (はっさくにんぎょう) 

    萩の民具(16) 市報はぎ(平成3年)1991.9.1号掲載


     旧暦8月朔日(ついたち)のことを八朔という。この日は、八朔節供とかタノミの節供・タノモ節供とも呼ばれている。現在は新暦9月朔日を八朔とするところが多い。
     全国的には、農耕に関わりの深い行事が行われる日となっている。田畑を巡り作物がよく実るよう祈願したり、出始めた稲穂を1束刈って神前に供えたり、二百十日をひかえ風鎮祭を行ったりしている。タノモ(田の面)のタノミ(田の実・稲穂)の充実を頼む日であったと考えられる。
     八朔人形は、この八朔の日に、その年の子供が生まれた家へ親しい人たちから贈られた。タノモ人形ともいう。贈られた家では、雛人形や五月人形と同じように飾り、子供の無事な成長を祝った。この人形の贈答は、萩地方においては盛んに行われていたようである。
     この日何かを贈答するということは全国各地で見られる。贈答により、労働力の援助を頼み合ったり、何かを願ったりしたものと思われる。