唐 箕 (とうみ) 

    萩の民具(18) 市報はぎ(平成3年)1991.11.15号掲載


     人工の風力を利用して、穀物の精粒とくず粒や塵とを選び分ける農具を唐箕(とうみ)という。名称から察せられるように、中国から伝来したとされる。元禄時代(1688〜1704)には使用が始まっている。唐箕導入以前は、自然の風の中で、箕に取った少量の穀物を放り上げては塵を飛ばして選別していた。
     漏斗状の受け入れ口から流れ落ちる穀物は、回転する板の羽によって起きる横風を受ける。重い精粒は手前のトノクチに落ち、軽い粒は第二のトノクチに落ち、そして塵の類は別の口から吹き飛ばされる仕組みになっている。選別作業は二人で行い、一人が穀物を流し込み、一人が把手(とって)を持って板羽を回転させる。
     大阪・三河・上総(かずさ)等全国に知られた産地もあるが、各地で、多くの唐箕大工職人により特色ある唐箕が製作されている。萩市周辺では、三隅町宗頭(むねとう)で製作されたものが多く見られる。写真の唐箕もその一つで、明治36年(1903)調えの墨書きがある。