萩地方では、前掛のことをマエダレとかマイダレカケともいう。前掛は、衣服の汚れを防ぐためや、物を抱えて運搬する際に腹部から膝を保護するために盛んに使用されていた。かつてはこれを、絣(かすり)や縞木綿(しまもめん)で自作していた。 相島などでは、三幅前掛と呼ばれる幅広の前掛を見ることができる。小幅布(布幅が鯨尺で9寸5分 ※約36センチ)を三枚継ぎ合わせて作ったもので、ほぼ腰全体を覆うことができる。そのため、仕事の補助着としてだけでなく、冬場には保温防寒着として用いられる。 前掛の前面には2か所の切れ込みが入れてあり、動きやすいよう工夫してある。また、赤い布などで縁取りが施されているが、これは蛇よけのためといわれる。 かつての仕事着は、全国的に上体と下体と別々なものを着用する傾向があった。そして西日本では、下体の下着の上に腰巻状のものを着用するところが多かった。三幅前掛も、補助着的なものではなく、仕事着の一種だったと考えられる。 |