除草機 (じょそうき) 

    萩の民具(26) 市報はぎ(平成4年)1992.7.1号掲載


     田植えから一ヶ月余り、高温多湿の水田では、稲とともに雑草も急速に成長する。雑草は放置しておくと稲の育成を阻害するため、昔から農家では除草に大変腐心した。かつては、炎天下に腰をかがめ、広い田の草を一本一本手で取り除いていた。大変な重労働であった。
     除草機は田打車(たうちぐるま)とも呼ばれる。明治25年(1892)倉吉(鳥取県)の中井太一郎が開発した、太一車をもとに発達したとされる。除草剤が使用されるまでは、どこの農家にもある必需農具であった。
     除草機は、ソリと回転する鉄の爪と柄から成っている。柄を持って稲株の間を前後させながら進むことで、鉄の爪が回転して土をかき混ぜ、草の根を切って土の中に押し込む仕組みになっている。稲の根の周辺が耕されることにもなり、稲の育成には一石二鳥の効果があるとされるが、何よりも立って除草作業ができることが喜ばれた。稲株の間隔を定めて植える正条植(せいじょううえ)の普及は、この除草機の開発と不可分の関係にある。