稲 架 (はぜ・はで)

    萩の民具(30) 市報はぎ(平成4年)1992.11.1号掲載


     日常生活の必要から製作し、使用してきた伝承的な器具や構造物を民具という。例えばそれが農作業に必要なものならば、一本の棒や竹でも立派な民具ということになる。
     刈り取りの終わった水田では、棒や竹を組み合わせて作った稲架(はさ)を見ることができる。横に渡した木や竹に、稲束を掛けて乾燥させるための物で、萩地方では、これをハゼとかハデと呼ぶ。
     稲の乾燥方法には、直接地面に刈った稲を立てたり並べたりする方法や、穂を内側にして円柱形や円錐形に積み上げて置く方法などがある。稲架を利用しての稲の乾燥は、地面が湿っていても行えるため、比較的雨の多い地方に普及している。
     山陰地方から北陸地方にかけては、横木が何段もある梯子状の稲架が見られる。また、萩地方では横木は一段だが、地区や家により稲束の掛け方に違いがみられる。稲架の名称・形態・使用法等は、地域によりかなり変化があり、それらは稲作文化の伝播交流と深い関係があるとされている。