枡 (ます) 

    萩の民具(34) 市報はぎ(平成5年)1993.3.1号掲載


     計量用具の枡は、かつてはどこの家庭にもある民具であった。方形や円筒形の枡があり、その容量により、一升枡とか斗枡などと呼ばれる。
     全国的に枡の容量が統一されたのは、一六世紀の終わり頃とされる。当時の政治や文化の中心であった京都で使用されていた枡が基準にされた。一升枡の大きさが、四寸九分(約15cm)平方の深さ二寸七分(約8cm)に定められたが、時代や地域により容量の異なる枡が使用された。この京枡より容量の大きい枡が、萩藩でも年貢米を計量する際に使用されたという。
     写真の一升枡には補強の弦鉄が取り付けてあるが、その体積も一升の容量に含まれていた。従って、この枡で穀物等の計り売りをした場合、購入する側は損をすることになり、販売する側は得をすることになった。
     また、節分に煎り大豆を入れて神棚に供えたり、十五夜に芋や栗等を入れて月に供えたりと、萩地方で枡は供物の入れ物として使用されることが少なくない。かつては、枡には別の機能もあったようである。