笠 (かさ) 

    萩の民具(40) 市報はぎ(平成5年)1993.8.1号掲載


     田植えの時などに頭に被った円錐形の笠を、萩地方ではタコラガサとかタコロガサなどと呼ぶ。真竹のヒゴを骨にして、竹(淡竹)の皮をかぶせて糸でとめて作る。名前の由来は定かではないが、竹のウラ(竹の末、先端部)の皮を用いて作ることと関係があるのではといわれている。
     竹皮の被り笠は、かつて西日本では盛んに用いられていた。そして、バッチョウガサという呼び名を各地で聞くことができる。この名前は、木工作業を行う番匠と呼ばれた人たちが被っていたことに由来すると言われている。
     萩地方では、かつて新造船の船おろしの際に、様々な飾り物を下げた笹竹を船に立てていた。竹皮の笠は、末広(扇)や柄杓やお多福の面と共に笹竹に下げられた。また、小正月の行事であるトヘトヘ(乞う参照、92年1月)で他家を訪問する際や、盆踊りの際には、わざわざこの笠を被っていたという伝承も聞くことができる。雨をしのぐこと以外に、特別の用途があったことが想像できる。