箕 (み) 

    萩の民具(41) 市報はぎ(平成5年)1993.9.1号掲載


     箕は農作業で用いられる。萩地方で使用される箕は、一方を開け口とし三方を囲んだチリトリ状の形をしている。穀類や豆類を入れて放り上げるように揺り動かしたり、中身を高い所から少しずつ落としたりして、穀粒や豆とそうでない物を選別するために用いられる。皮や殻や塵の類いは自然の風によって飛ばされるのだが、選別作業もかつては天候の影響を受け、時間を要していた。
     萩地方では、板製の箕と竹製の箕を見ることができる。竹の産地であったにもかかわらず、竹製の箕は少ないようである。それは、細かく目の詰まった箕を製作するのが難しかったからとも考えられる。
     大正時代末頃までだが、住居を定めない箕作り等の竹細工を専業にする人達が、萩市郊外には時折訪ねて来ていたという伝承を聞くことができる。新しい竹製品と米を交換したり、代価を得て竹製品の修繕をしたりしていたという。