クツガタ (くつがた) 

    萩の民具(42) 市報はぎ(平成5年)1993.10.1号掲載


     魚介類を料理する際に用いられた楕円形の浅い 桶を、萩地方ではクツガタと呼ぶ。鮮魚や魚の切り身、潮の滴る物等を入れるため、表面に柿渋を塗り込んで防腐・防朽の処理をして使用した。
     名前の由来は定かではないが、同じように楕円形をした茶碗は、沓に似ているということで沓形と呼ばれている。
     かつて萩市内やその近郊では、玉江浦の婦人達が、魚介類の入った 桶を頭上にカネって(載せる、頂く)行商して歩いていたという。この行商の婦人達はカネリと呼ばれた。リヤカーが普及する戦後しばらくまでは、この頭上運搬が見られたという。手拭いや古布を輪にして頭上に載せ、その上に 桶を置き、手を添えてバランスをとりながら歩くのだが、多くがこのクツガタを使用していたという。