徳 利 (とくり) 

    萩の民具(43) 市報はぎ(平成5年)1993.11.1号掲載


     酒の容器である徳利は、トックリとも呼ばれる。その名前の由来はよく分かっていない。朝鮮語を語源とするとか、初期に多く流通した備前焼きの徳利が、安く丈夫で多くの利益をあげることができ得であったことに因るなどといわれている。
     徳利には、燗徳利(かんどくり)と俗に貧乏徳利と呼ばれる物とがある。前者は酒を燗して飲む際に用いられ、入る酒の量も1〜2合と比較的小さい物が多い。江戸時代の後期、燗酒を飲み始めた頃から使用されるようになったという。後者は室町時代には既に使用されており、酒だけでなく、酢や醤油や油の容器としても用いられていた。
     明治時代の半ばにガラス瓶が普及する以前は、酒屋から借りた大きい徳利を持参して、必要量だけ酒を小買いしていたという。萩地方では、酒屋の名前を記した地元の小畑焼きの徳利が多く用いられていた。