メシツギ (めしつぎ) 

    萩の民具(48) 市報はぎ(平成6年)1994.4.1号掲載


     大島では、八幡宮の春祭りの際に、厄年の男女同級生が一同で八幡宮に参詣し、厄を祓ってもらうという独特の厄落としが行われている。
     トシイワイ(年祝い)と呼ばれるこの厄落としは、男女共に数え年三十三歳の厄年の場合に特に盛大に行われる。男性は紋付き・羽織・袴を、女性は裾模様の入った留袖を着て正装し、最も遠い該当者の家から八幡宮まで、行列を作って参詣することになっている。
     行列には、厄年の者の親類縁者を中心に、樽神輿や祝い餅を担ぐ人達、撒き餅や撒き銭等の入ったメシツギを担ぐ人達が多数加わる。宰領人と呼ばれる先導者が、祝い歌の音頭を取りながら行列を導いて行くのだが、沿道には見物の人達も多く、大層賑やかなものとなる。
     メシツギとは炊いたご飯を移しておく入れ物のことで、大島では、餅等の祝いの品々を入れて運ぶ際にも用いられる。柿渋を塗り込み、屋号を記した上等のメシツギが、かつてはどこの家にも一つはあったという。