張り板 (はりいた) 

    萩の民具(52) 市報はぎ(平成6年)1994.8.1号掲載


     張り板は、かつてはどこの家庭にも有る洗濯用具の一つであった。丸洗いした浴衣や、一旦縫い目をほどいて布地の状態にして洗った着物を、この張り板に張って乾燥させたり糊付けしたりしていた。着物を着る機会が少なくなり、次第に使用されなくなった。
     張り板は、杉などの一枚板で作られている。板の幅が1尺5寸(約45センチメートル)程度、長さが1間(約180センチメートル)程度で、並幅1尺2寸(約36センチメートル)の着物地が張れる大きさとなっている。
     縫い目をほどいて洗濯し、糊付けした布地は、また元のように縫い合わせて着物に仕立てていた。洗濯の度毎に着物を調えるようなもので、随分と面倒なことに思われるが、布地は繰り返し大切に使用されていた。 かつて萩地方では、衣服の簡単な修繕をすることを、洗濯をすると呼んでいたという。確かに、かつての着物の洗濯では、同時に繕いや寸法の修正も可能であった。