鬼ヨウズ (おにようず) 

    萩の民具(57) 市報はぎ(平成7年)1995.1.1号掲載


     萩地方では、角型の凧のことをヨウズと呼ぶ。そして、鬼の顔を描いた凧のことを、一般的に鬼ヨウズと呼んでいる。ヨウズという言葉の語源は定かではないが、かつては、山口県や広島県、島根県、大分県の一部で、凧のことをそう呼んでいたようである。 
     見島では、初めての男児が誕生した家で、その子の出生を祝い、無事な成長を願って、現在でも鬼ヨウズが作られ、揚げられている。大きい物では、畳六畳分もある鬼ヨウズが見られ、それらは男児の家族や親戚一同により年末に自作され、正月に揚げられることになっている。
     この鬼ヨウズは、空高く揚がれば揚がるほど縁起が良く、その男児は元気に成長するといわれている。また、男児の寝室の天井にこれを下げておくことで、男児が鬼をも恐れない強い子供に成長するとか、魔よけになるともいわれている。
     子供の遊びと考えられがちの凧揚げだが、全国的に見ると、見島の鬼ヨウズのように、別の目的で揚げられる物が多い。