蔀 戸 (しとみど) 

    萩の民具(64) 市報はぎ(平成7年)1995.8.1号掲載


     蔀戸は、分割された戸板を上部に引き上げたり、はね上げて吊ったりして開閉する形式の戸である。西日本では、かつては、かなり一般的に用いられていたとされる。萩市でも、商家や漁家などで比較的最近まで用いられていた。
     蔀戸は、戸板の開閉がシャッターのように上下方向になされる点と、全部の戸板を容易に取り除くことができ、蔀戸を設けた場所全面を開放できる点とで、引違い戸と大きく異なっている。戸板を支える柱を取り除くことができるようになった蔀戸もあり、この場合、さらに広い面積を開放することができる。
     かつて商家では、家屋の道路に面した部分を店とし、商売のために開放する必要があった。並べてある商品が家の外からでも容易に見えることや、出入り口が広く人や商品の出入りが容易である等のことが、商いをするにあたって大変重要な要素であった。そのような目的に適い、かつ夏の蒸し暑さに対応できるのがこの蔀戸であった。