ホボラ (ほぼら) 

    萩の民具(67) 市報はぎ(平成7年)1995.11.1号掲載


     籠状に編んだ藁製の運搬用具を、萩地方ではホボラとかホボロと呼ぶ。農作業に行く際に弁当を入れて運んだり、収穫した農作物を入れて運んだり、土や堆肥を運んだりと、その用途は広い。大きさも様々で、手に提げる小さな物から、背中に背負うような大きな物が見られる。もちろん、各々の家で自作されていた。
     山口県内では、嫁が無断で婚家から里に帰ることを、ホボラを振るとかホボラを売るという。なぜそういうのか、納得のいく説明を聞くことはできない。不縁になるという意味でも用いられるようだが、振るとか売るという言葉からは、嫁が積極的に婚家を出る様子が思い起こされる。
     ちなみに、かつての農村では、若い嫁は定期的に里に帰ることができた。盆、正月、節句、祭礼等の他に、麦熟らしと呼ばれる麦の収穫や田植えを控えた時期、泥落としと呼ばれる田植えの終了後、埃振るいと呼ばれる稲の脱穀・籾摺り作業の終了後など、農作業の節目に里帰りをし、息抜きをしていたという。