フライキ (ふらいき) 

    萩の民具(74) 市報はぎ(平成8年)1996.6.1号掲載


     萩地方では、祭りの折りなどに船に掲げる大漁旗状の旗ことを、フライキと呼んでいる。フライキは、船が進水する際や大層漁獲があった時などに、親戚知人や業者などから贈られる。船名やめでたい絵柄、優漁を称える言葉等が染め抜かれた物を、多く目にすることができる。
     フライキは、オランダ語のフラグ(vlag)から発生した言葉とされている。かつて萩地方では、端午の節供に、家紋を染め抜いた大漁旗状の旗を掲げていた。これをフラフと呼んでいたが、やはり語源は同じと考えられる。
     萩地方に限ったことではないが、漁業や回漕業に携わった人達の間では、早くから外来語が取り入れられ、日常的に使用されていた。例えば、船を前進させることをゴヘイするというが、これは英語で前方に進むという意味のゴーアヘッド(go ahead)から発生している。また、捕れた魚を入れる箱をトロバコというが、これも網を曳くという意味のトロール(trawl)と深くかかわっている。