ドンザ (どんざ) 

    萩の民具(82) 市報はぎ(平成9年)1997.2.1号掲載


     かつて、漁に携わる人達が仕事着として着用していた着物を、萩地方ではドンザとかドンダと呼ぶ。
     ドンザは、木綿の小布を、何枚も重ねて縫い合わせるのが特徴で、中には補強のために刺子縫いにしたものも見られた。ただ、遠目には古布を寄せ集めたように見えるため、漁村以外では、あまり良くない印象を持たれている。しかし実際は、手の掛かっている実用的な着物であった。
     厚く丈夫な木綿製のドンザは、耐久性があり、保温性にも優れていた。昔の人達の方が体力があったからかもしれないが、冬の間でも、ジハン(ポルトガル語でジバン、襦袢、肌着のこと)の上に、これを着用しただけで作業をしていたという。また、少々の雨や潮水ならば肌まで通さなかったといい、ドンザは、海上での仕事着として適していたとされる。
     仕事着には、一般的に筒袖や捩袖や鉄砲袖などと呼ばれる袖の形が見られる。ドンザの場合、全国的には、呼び名は様々だが、捩袖が多いとされる。