ツヅリ (つづり) 

    萩の民具(83) 市報はぎ(平成9年)1997.3.1号掲載


     かつて相島では、農作業などを行う際に、腰下辺りまでの丈の厚手の着物を着用していた。ツヅリと呼ばれるこの着物は、丈夫で耐久性があり、また少々の雨風を通さないため、仕事着として大変重宝されていた。
     ツヅリは、一般的に裂織りと呼ばれる織り方で織った布を用いて仕立てられた。裂織りは、布の横糸に、木綿布を細かく裂いて、軽く撚りをかけたものを用いるのが特徴となっている。
     手間をかけ、自家で機織りして調えていたが、再利用する古い木綿布の色を変化させることで、美しい縞模様となった。相島では、和紙を木綿布と同じように織り込んだツヅリも着用された。
     裂織りの布を用いた仕事着は、日本海沿岸の地域から東北地方にかけて多く分布していたとされる。それらは、ツヅリ・ツヅレ・ツヅラなどと同系の名前で呼ばれることが多い。分布に大きな役割を果したものが有ったと考えられる。