酒や御馳走を用意して、桜の花を見ながら宴を催すという花見は、江戸時代に大都市で発達し、庶民の間に定着したものと言われている。 ところが全国的には、旧暦3月から旧暦4月にかけての特定の日に、野山の特定の花を見物に出掛けたり、野山や磯傍などの屋外に出て終日遊んで過ごしたりすることを、恒例の行事としている地域が少なくない。しかも、行事の日には労働を禁止し、また屋外に臨時の竈を設け、常日頃とは異なった火で食物を調理して皆で飲食する例も見られる。 それらの地域では、どうもその日が、行楽とか気晴らしではない遊山の日であり、一年の節目の日であり、祭りに準ずる日と考えられているようである。 かつて、これら花見や花見に類する行事のために、各々の家庭で用意した飲食物は、重箱に詰めて持ち運ぶことが多かった。その際に、こじんまりと収納できる提げ重は大変に重宝であった。しかし最近は、ほとんど使用されなくなっっている。 |