飯 台 (はんだい) 

    萩の民具(85) 市報はぎ(平成9年)1997.6.1号掲載


     萩地方では、いわゆるチャブ台のことを、ご飯を食べる際に用いる台ということで飯台と呼ぶ。飯台の台の部分は円形か方形で、4本の脚は、折り畳みができるようになったものが多い。
     このような形の食卓は、明治時代の中頃に考案され、以後大正時代にかけて、都市部を中心に流行していったとされている。伝承によれば、萩地方でも、その頃から飯台が用いられるようになったとされる。しかし、依然として、銘々に与えられた箱膳などで食事をすることも少なくなかったという。
     飯台での食事では、数人が食卓を囲み、皿などに盛られた料理を取り分けながら食べることが特徴となっている。定められた場所に座り、固定化した個人の椀や皿を用い、個人に応じてあらかじめ取り分けられたご飯や副食物を、言葉を発することなく食べるというかつての食事風景や、食事の民俗的意味合いは、飯台の普及とともに大きく変化したようである。