延 縄 (はえなわ) 

    萩の民具(89) 市報はぎ(平成10年)1998.2.15号掲載


     萩地方では、延縄のことをナガノォ(長縄)とか単にナワ(縄)と呼んでいる。延縄は、長い幹になる縄に適当な間隔で枝糸を結び、それぞれに釣針を取り付け、それに餌を掛けて水中に投じることで魚を捕る釣り漁法の一種である。そして、漁獲の対象となる魚の種類により、アマナワ(甘鯛)、フクナワ(河豚)などと呼ばれ、用いる道具の使い分けがなされる。
     玉江浦や鶴江においては、かつて、鱶(サメ)を漁獲するフカナワ漁が盛んにに行われていた。明治時代には、小型の和船に6、7人が乗船し、帆と艪のみを頼りに朝鮮半島の近海まで出漁し、彼地に寄港しながら何ヶ月間も操業を続けていたという。
     写真のフカナワは、玉江浦で20年程前に使われていたもので、一つの縄鉢あたりの幹縄の長さが、長いもので約200メートル、特製の釣針8本程度が針金を介して取り付けてある。これを50鉢分位結びつなぎ、船を走らせながら海に投じたという。