吉井勇歌碑

(椎原 吉田松陰誕生地)
  


              勇
    萩に来て
     ふと おもへらく
          いまの世を
       救はむと起つ
          松陰は誰

     萩市街の東郊、松陰神社から道を東に登ると、風光明媚な吉田松陰誕生地及び松陰一族の墓地がある。その広場の前、市街地と日本海が一望できる所に、この歌を彫った高さ一二〇センチメートル、幅二四〇センチメートルの斑糲岩の石碑が横たわっている。
     この歌は、昭和三十年(一九五五)、吉井勇が夫人同伴で萩を訪れ、市内の史跡や萩焼窯などを見学して回った際、色紙にしたためたもので、それを昭和四十一年(一九六六)五月二十二日に有志達によって歌碑として建立したものである。
     作者吉井勇は東京都出身の歌人・劇作家・小説家で、早くから「明星」に歌を発表、のち「スバル」の同人として活躍、明治から大正の初めの日本近代頽唐派歌人として多くの歌を残した。晩年は京都に住み、昭和三十五年(一九六〇)数え年七十五歳で没した。