宅配便 11
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先日、河上勲さん(萩市在住)から、去年の冬に萩市菊ヶ浜で採れた貝を見せていただきました。その中に「ナツモモ」という名前の、オレンジ色のきれいな巻貝がありました。今回は「夏」にちなみ、この「ナツモモ」という貝を紹介します。 1■「ナツモモ」−その名前の由来「 ナツモモ(夏桃)」とはもともと植物の名前です。漢字では「楊梅」とも書き、それは中国語ではヤマモモ(山桃)のことだそうです。ヤマモモは萩でも公園や庭に植えられることの多い樹木で、初夏(6月ごろ)に直径1〜2 cmの丸い実をたくさんつけます。その実は表面がツブツブで(図2)、この貝の特徴によく似ています。それでこの貝は「ナツモモ」と名づけられたものと考えられます 1)。 2■「ナツモモ」はどこにすんでいた? この貝「ナツモモ」は太平洋の西部に広く分布し、日本では房総半島より南の太平洋側と、能登半島より南の日本海側に見られます。水深20mまでの岩場や石の間などにすみ 2)、藻類をけずりとって食べます。 3■おわりに菊ヶ浜で採れた「ナツモモ」の標本を貸していただき、また、さまざまな情報をくださった河上勲さんに深くお礼申し上げます。 (平成16年7月30日作成/平成16年8月13日更新) |
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参照文献 1) 岡本正豊・奥谷喬司, 1997: 貝の和名. 会報「みたまき」特別号. xiii + 95 pp. 相模貝類同好会, 横須賀. 2) Higo, S., P. Callomon & Y. Goto, 1999: Catalogue and Bibliography of the Marine Shell-bearing Mollusca of Japan. 749 pp. Elle Scientific Publications, Yao |