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市長コラム「市民ファースト」 平成30年6月号(No.13)

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年5月29日更新
 5月15日、16日の両日、第73期本因坊戦7番勝負の第1局が萩・明倫学舎で開催された。結果は二日目の夜に256手にて終局し、挑戦者の山下敬吾九段が、本因坊文裕(もんゆう)こと、井山裕太本因坊に僅か半目差で勝ち、第1局を制した。井山本因坊のタイトル戦の連勝記録は17でストップした。
 対局前日の前夜祭で私は初めてプロ囲碁棋士の方とお話をさせていただいた。お二人とも第一印象はもの静かな、ごく普通の青年であった。井山本因坊は終始真面目な話ぶりであったが、山下九段は人を和ませる話し方であった。対局前の前夜祭は対局に差し支えないかと尋ねたところ、きっぱりと切り替えができるので大丈夫とのこと。
 対局初日の朝、関係者とともに、双方が初手を打つまでの、約10分間静かに観戦した。前日のリラックスしたお二人からは想像がつかないほど、トップ棋士同士が醸し出す緊張感が周囲に伝わってきた。
 両日の対局中、山本賢太郎五段による大盤解説会があった。私は公務のため参加できなかったが、井山本因坊が僅かに優勢の局面が続いていた。二日目の夜、終盤を迎え記者席に入り、お二人の鬼気迫る対局の終盤戦を約2時間観戦した。最後まで勝負がもつれ、結果は山下九段の半目差で逆転勝ちと、本因坊戦でも歴史に残る名勝負となった。
 勝負がついた後の感想戦で井山本因坊は、どこで流れが変わったのかをしきりに確認するため、終盤戦の自らの一手一手の評価を新聞解説の張栩(ちょうう)九段相手に確認していた。その姿には悔しさは感じられず、勝負師というよりも、研究者の姿に映った。一方、山下九段は勝利したこともあり、感想戦の振り返りに関して、一手一手への評価はあまり気にしていないように見えた。
 歴史ある本因坊戦の萩対局を開催して、毎日新聞社や日本棋院、関西棋院をはじめ、大和証券グループ、マルシフードサービス(株)、そして萩市の担当職員をはじめ数多くの関係者の協力があってはじめて対局は成り立つ。そして、日本のトップ棋士の二日間にわたる集中力を間近でみて、凡人のそれと決定的に異なり、オンとオフとの切り替えが早く、深く、かつ長く続く。近づきたいものである。また、敗戦こそ、上達の道と感じた。