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平成31年3月定例会 市長報告

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年4月6日更新

1.旧明倫小学校3・4号棟のあり方について

○ 3月定例会の最後に「旧明倫小学校3号棟・4号棟のあり方」について、先般の市民3千人を対象にしたアンケート調査の結果を踏まえて、市の最終的な方針を決定いたしましたので、ご報告を申し上げます。

○ 平成28年8月、私は、ふるさと萩に戻り、40年前と変わらぬ町並みや豊かな自然に感慨を覚える一方、急速な少子高齢化と若者流出など、歯止めがかからなくなった人口減少に大変な危機感を抱きました。「現状のままでは、萩市は衰退の一途をたどる。活力ある市政の実現に向けて行動しなければ。」と決断し、12月、萩市長選への出馬を表明しました。
 そして、2年前の3月19日、萩市長として初当選を果たし、その日からちょうど2年が経過したことになります。この2年間、様々なことがありました。中でも、この旧明倫小学校3号棟・4号棟のあり方については、これまで私なりに熟考を重ねてきた課題でもあります。


○ 昨年の6月定例会で新たな検討方針をお示ししてから、意見募集、それを踏まえた活用案の内部検討、市民アンケート調査、そしてその分析という手続きをとったことで、本日の方針発表までに、時間を要することとなりましたが、市民の皆様の関心が高い政策課題の一つであり、しっかり考えて、最終的な方針を決定いたしました。

○ 旧明倫小学校3号棟・4号棟と孔子廟の移設については、私が市長選への出馬を表明し、市民の皆様の声を集約する中で、既存の事業を疑問視する声が多くあったことから、将来の子供たちに過大な負担を残すことが懸念される箱物予算について、効果の検証と計画の見直しが必要であり、一旦立ち止まって検討するというスタンスのもと市長選を戦い、市民の皆様の信任を賜り市長に就任いたしました。

○ 市民や議員の中には、「市長選は明倫学舎、藩校明倫館の復元が、最大の争点で、既に大義を得ており、当選した市長自らが判断されたらよい。」といったご意見もありましたが、私がお聴きした市民の方々の意見が、萩市全体の意見なのかどうかという考えもありました。
 また、この建物は、時代を、そして歴史を刻んできた建物です。仮に取り壊してしまうと、二度と元へは戻せません。したがって、非常に重要な決断となりますので、改めてしっかり市民の声を聴いた上で判断したいと考えました。

○ そうした考えのもと、この問題には早期に取り組む必要があるため、旧明倫小学校検討委員会の設置について、平成29年の6月定例会に条例案を提出いたしました。
 市長である私は、「中立的な立場を維持し、委員会ではどのように建物又は跡地を活用していくのか、どういう形でこの場所を市民のために活用していけばよいのかをしっかり議論して頂き、委員の皆様からの答申を受け、最終的には施策決定の責任者である市長として結論を出す。民意に沿った方針を示したい。」このような思いでございました。

○ しかしながら、この条例案は、議会の理解を得ることができず、これ以上、この問題を長期化させるべきではないと考え、昨年の6月定例会で旧明倫小学校3号棟・4号棟と孔子廟の移設を切り離して検討し、旧明倫小学校3号棟・4号棟のあり方については、議員の提案や市民の声を聴きながら、市として複数の活用方法を検討し、その上で何らかの方法により民意を確認し、方針を決定することを報告いたしました。
 また、活用方法の検討に当たっては、維持管理費用の軽減や収益性についても念頭において考えるよう内部に指示をいたしました。

○ 昨年の7月から8月にかけて、広く市内外の皆様から、あらゆる可能性の中で、活用アイデアを募集し、延べ295件の貴重なご意見・ご提案を頂きました。募集に当たっては、若い世代の意見を聴くため、市内の高等学校にもご協力を頂き、高校生からも多くの提案を頂いたところです。このようなご意見・ご提案を参考に、「暮らしの豊かさを実感できるまち」を目指すに当たり、「萩市の活力や賑わい創出に資するもの」、「未来を担う人材の育成につながるもの」、「将来への過度な負担とならないもの」という3つの観点から「建物活用」及び「跡地活用」について検討し、「産業・文教・交流」とゾーニングした活用方法などを9月定例会で中間報告いたしました。

○ この後、引き続き、運営手法、整備・運営にかかるコストや収益性などの観点から活用案の検討を行い、整備費・管理運営費の概算額、案のポイント、主な投資効果などを付した「建物活用」や「現状保存」、「跡地活用」など5つの活用案をお示しし、18歳以上の市民3千人を地域別・年代別の人口割合に応じて無作為に抽出し、本年1月から2月にかけて、民意を確認するためのアンケート調査を実施しました。

○ アンケートについては、今定例会の全員協議会や一般質問でもご報告させて頂いたとおり、1,209人、4割を超える方から有効回答を頂きました。

○ アンケート結果について定量的に分析いたしますと、5つの案の中では、「発掘せずに、跡地を更地活用する案」を選択された方が最も多く、3割強のご意見でしたが、1つの案で過半数を超える圧倒的な案はなく、一方で建物を残し活用する案、2棟を残すことを望む意見が6割近くと、跡地を活用する2つの案の合計を上回る結果となりました。
 更に、2棟を残すことを望む意見の中では、「1棟を建物活用し、1棟を現状保存する案」が最も多いという結果となりました。
 地域別や年代別に見てみますと、建物を残し活用する案については、「萩地域」及び「相対的に若い世代」で選択された方が多く、跡地を活用する案については、「萩地域以外」及び「60代」で選択された方が多いなどの傾向がありました。

○ 定性的な分析として、「選択の理由や記載された意見」を見ますと、建物を残し活用する案を選択された方においては、コンセプトに沿った活用やお示ししたプランの内容を選択の理由とした意見が多く、現状保存の案を選択された方においては、「将来の維持管理費用」を心配しつつも、「まずは建物を保存してほしい。活用に関しては少し時間をかけて検討する。将来的に民間に活用を委ねればよい。」などの意見がありました。
 跡地を活用する案を選択された方においては、「整備費や維持管理費用がより小さいから」など、跡地活用のプランの内容よりも初期費用に係る市の負担や将来の維持管理費用がかかることを選択の理由としている意見が多くありました。

○ 私は、これらひとつひとつ、全ての意見等に目を通させて頂きました。そこには選択した番号だけを見ていては読み解くことができない様々な考えや意見があることが分かりました。それぞれの案を選択したことに対する市民の思いをしっかりと確認することができたと考えています。
 「建物活用」を選択された方の中にも、「建物活用を選択するが、財政を考えると活用か解体か迷った。」、逆に「建物解体」を選択された方でも、「本当は建物を残してもらいたいという気持ちだが、将来の財政的な負担を考えると解体もやむを得ない。」など悩まれた末の選択ということが分かるご意見もありました。

○ これを「年代別」に見ますと、昨年7月に行いました意見募集の際にも、若い世代を中心に建物活用を前提としたご意見・ご提案を数多く頂いておりましたが、今回のアンケート調査でも、建物活用を前提とした積極的な活用策に期待する声が若い世代ほど多いということが改めて確認できました。
 また、「地域別」に見ますと、「市内中心部だけにお金を使うのではなく、周辺地域に、もっとお金を使うべきだ。」という意見を、周辺地域の方から少なからず頂いています。このことについては、誤解のないように、あえて申し上げますが、周辺地域にも福栄コミュニティセンターをはじめとする各地域・各地区のコミュニティ施設やふれあいステーション須佐など、各地域の交流施設等の整備にも、しっかりと予算を措置し、また、地域定住促進住宅の整備や地域の温泉施設等の改修といった、様々な施策を講じており、市全域を見据えた施策に取り組むことについては、今後もその方針に変わりはありません。

○ このことから、建物2棟を残したい、一方で整備費や維持管理費用について市の負担の抑制を図ってほしい、様々な市の事業において、市全域への効果の波及を考慮してほしいということが、民意であると受け止めました。
 そして、「建物を残す」というご意見が過半数を超えていることに加えて、中でも未来を担う世代が積極的な活用を期待するという声も、方針決定に際して重要視するとともに、整備費や維持管理費用の面から、最初から2棟を活用するのではなく、1棟については、民間事業者の投資や提案を聞いた上で活用していくことが、現実的であると考えました。

○ ここに至るまで、6月定例会で報告させて頂いたスケジュールに沿って検討を進めてまいりました。そして、今般の市民アンケート調査の内容を、定量的、かつ定性的に分析し、こうしたプロセスを経て、総合的に判断した結果、本市の方針として、旧明倫小学校3号棟・4号棟のあり方について、アンケートでは「案(2)」としてお示しした「建物活用・現状保存」を選択することとしました。

○ この案は1棟を「産業・ひとづくり・交流」としてゾーニングし、それぞれにゾーニングに合わせた機能を持たせ、もう1棟は保存に必要な外観・耐震化などの修繕のみ行い、民間事業者の投資や提案があれば、随時、条件等を交渉し、可否を検討する活用方法です。
 建物活用を望む方からまちの活性化や賑わいの創出を望む声がありました。
 維持管理費用による次世代への負担を心配されるご年配の方々の声もありましたが、萩の未来を担う世代の若者たちから積極的に活用するべきだという多くの声がありました。
 「前を向き、何かをしていかなければ萩に変化はない」といった前向きなご意見をいくつも拝読するに付け、私は「萩市の若者たち」を頼もしく感じました。

○ 旧明倫小学校は市の中心地にあり、人の行き交う場所にあります。
 市民に喜ばれ、地域の活力を生みだす場、すなわち「萩市基本ビジョン」を実現するための拠点の一つとなるよう整備し、未来に「Challenge(挑戦)」する空間にしたいと考えます。

○ 5つの案の中から1つを選んで最終方針とすることとしておりましたので、どのような選択をしたとしてもアンケート調査に回答して頂いた市民全員の意向に沿うことはできません。ただ、選ばれなかった案を支持した方のご意見にも参考にすべき様々な意見がございましたし、今回決定した方針を支持していた方の中にも、諸手を挙げて賛成という方々ばかりではございません。様々なご意見がございますので、今後、計画を進めていく中で、こうした意見にも可能な限り配慮していきたいと考えています。

○ この新たな方針により、1棟を現状保存とすることで、見直し前の計画から整備費の軽減を図ることが可能となります。1棟には、民間の力をいかすと同時に賃料収入等により維持管理費用を抑制し、未来を担う世代の負担の軽減を図ります。また、「産業活力みなぎるまちづくりを支える場」というコンセプトを新たに加え、この場所を活用し、地場産業の再生や企業誘致、雇用機会の創出に取り組むとともに、施設の利用可能な時間について、市民が利用しやすいようにしてまいります。
 本事業を市全域への波及効果につなげるために、建物本体のみならず中庭などで地域の地場産品を販売するマルシェ等の開催など、萩・明倫学舎の本館・2号館と合わせて賑わいを創ることができるよう、他の事業との相乗効果を生み出せるような施策も検討してまいります。

○ 我々は、この場所を使って政策を実現していく役割も担っておりますので、必要なものについてはしっかり財政負担をしていくことも必要だと考えております。しかし、今回のアンケートで「跡地活用」の案を支持された方の「整備費に係る市の負担」や「将来の維持管理費用」を心配されている多くのご意見にも配慮し、整備費の市の負担の抑制については、先に報告いたしました小原實夫(こはらじつお)様からの「萩市の発展に寄与する建物の建設資金に」という多額のご寄附の一部活用、補助金等の調整、更には、ふるさと寄附の募集などを念頭に置き、維持管理費用の抑制については、賃料収入の確保、ふるさと寄附の募集などにより、市の負担の軽減に努めてまいります。

○ 今後のスケジュールでございますが、1棟は建物活用、もう1棟は保存に必要な修繕をして、民間投資、提案を待つという方針としましたので、この方針に沿って、財源についての検討やこの建物を利用したいという個人や事業者の方々からのヒアリングなど、計画的に事業を進めてまいります。活用内容については、コンセプトを前提に、引き続き精査し、再来年度の整備着手に向けた検討も進めてまいります。

○ 最後になりましたが、私が市長に就任して以来、2年が経過しようとしています。
 平成31年度はこれまでの計画を行動に移す「改革本番」の年と位置付け、勇気とチャレンジ精神をもってあらゆる改革に取り組むと今定例会冒頭の施政方針でも申し上げました。
 この旧明倫小学校3号棟・4号棟についてもこれからが本番です。勇気とチャレンジ精神、そして覚悟をもって、引き続き、全力で取り組んでまいります。
 皆様のご理解とご協力をお願いいたします。