萩博物館

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生きたユリヤガイ、見島で約30年ぶりに再発見!

7/30・31の14〜15時限定で一般公開

 

 

 萩博物館の堀 成夫総括研究員は、本年7月25日(木)、水産大学校の村瀬昇教授とクラブノア見島の協力を得て、萩市見島に「二枚の殻をもつ不思議な巻貝『ユリヤガイ』」が現在も生息していることを約30年ぶりに確認しました。この生きた貝を7/30・7/31の14〜15時限定で萩博物館にて一般公開します。

 

■ ユリヤガイとは 
ユリヤガイは大きさ5mmほどの緑色の小さな貝で、アサリのように二枚の殻をもちながら本体(軟体)は巻貝そのものであるという、「二枚の殻をもつ不思議な巻貝」として知られています。熱帯太平洋〜インド洋の温かくきれいな浅海で、特定の海藻(アミモヨウやヒメイワズタなどの緑藻)が生える岩礁にしか生息しない希少種です。萩市の見島のほか、下関市の角島、伊豆半島、紀伊半島、四国南部、奄美、沖縄などのごく限られた場所で少ししか見つかっていません。

■ 見島とユリヤガイ
ユリヤガイは、かつて貝殻しか存在が知られていませんでしたが、昭和37年(1962)、ハワイに続き日本で初めて見島の砂見田ヶ浜(さみだがはま)で当時の岡山大学の川口四郎博士・弥益輝文博士により生貝(生きている状態の貝)が発見されました。以来、見島は「日本初の生きたユリヤガイ発見地」として有名になり、貝類学者でもあった昭和天皇をはじめ多くの研究者や自然愛好家に注目され、脚光を浴びました。
見島在住の貝類研究者、故・多田武一氏(1899〜1986)によると、その後1980年代頃まで生貝が確認されていたとのことですが、それ以降は環境変化のためか生貝は確認されず、浜辺に漂着する貝殻さえ激減し、見島にユリヤガイが健全に生息し続けているか分からない状態が約30年も続いていました。それでも平成14年(2002)完成の島唯一のダムが「見島ゆりや湖」、今春就航の高速連絡船が「ゆりや」と命名されるなど、見島にとってユリヤガイは島のアイデンティティをなす要素の一つであり、内外からユリヤガイ再発見への期待が寄せられていました。

■ 今回の再発見の経緯 
現・萩博物館総括研究員の堀は約30年前から見島で生きたユリヤガイを再発見すべく、砂見田ヶ浜で磯歩き・素潜り・潜水により調査を続けましたが、全て徒労に終わっていました。しかし本年7月25日午後、現地ダイビングサービスのクラブノア見島の協力により、萩博物館の海洋生物調査のため砂見田ヶ浜付近の海底(水深2〜3m)に潜水した際、海藻植生調査のため来島していた国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産大学校(下関市)の村瀬昇教授に同地を潜水していただき、ユリヤガイの餌や生息場となる海藻(アミモヨウやヒメイワズタなどの緑藻類)を教示していただきました。そこで堀がその一帯の海藻類や底質をサンプルとして採取したところ、サンプルの一部からユリヤガイの生貝2個体が発見されました。

■ 今回採集された生貝の一般公開
今回の調査で再発見されたユリヤガイの形態や重要性を知っていただくため、生貝を日時限定で特別公開します。下記の日時に来場された方へ、1組ずつ萩博物館職員が解説しつつ紹介します。なお、ユリヤガイが衰弱・不調となった場合は、公開を短縮または中止する場合があります。
【とき】7/30(火)・7/31(水)各々14:00〜15:00限定
【ところ】萩博物館 講座室 (無料ゾーン)

 

 

 

 

 

 

 

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今回の調査で再発見されたユリヤガイの生貝

(貝殻の部分の長さ:約5mm)

 

 

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ユリヤガイの生貝が再発見された

見島の砂見田ヶ浜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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