背負い梯子 (せおいはしご)

    萩の民具(8) 市報はぎ(平成2年)1990.12.1号掲載


     萩地方では、背負い運搬用の梯子のことを、ニコとかニッコウと呼んでいる。背負い梯子は、梯子状の木枠と荷を載せる爪木背中当てと負い縄から成っている。木枠と爪木は一体となったものが多い。枝の出た松材などを利用し、かつては各々の家で自作していた。
     背負い梯子は、全国的にみると、爪木の有るものと無いものとに分類できる。爪木の有るものは中国・四国・九州地方に多く分布する。中部地方以東では、ほとんど爪木の無いものとなる爪木のある背負い梯子は、朝鮮半島のそれの影響を受けたものと考えられている。九州地方においては、チゲという彼地での呼び名をそのまま用いている所もある。
     萩地方においては朝鮮ニコと呼ばれる背負い梯子も存在する。従来のものに較べ大型で爪木から梯子下端までが長い。少し屈むと下端が地面につき、そのため重い荷物の負い上げや休憩が容易であった。戦前に朝鮮半島から伝えられ急速に普及したという。