炬燵・火燵 (こたつ)

    萩の民具(9) 市報はぎ(平成3年)1991.1.1号掲載


     冬の日本家屋には、炬燵(こたつ)は無くてはならないものである。炬燵は室町時代に、禅家から一般に広まったとされる。当初は囲炉裏(いろり)の上に櫓を設け、その上にふとんを掛けて手足を暖めたようである。現在でも、囲炉裏を掘炬燵(ほりごたつ)に作り変えたものを見ることができる。
     炬燵には炭や炭団(たどん)が燃料として用いられた。ふとんで熱が逃げないようにするため、囲炉裏などに較べて燃料が少量ですんだ。燃料が豊富でなかった都市部では早くから炬燵が愛用されたようである。
     江戸時代の初めには、持ち運びが容易な置炬燵(おきごたつ)が盛んに用いられるようになった。底を張った土や木の櫓の中に、土や金属製の火入れを置いた比較的小型のものが多い。萩近辺において、櫓炬燵(やぐらごたつ)とか達磨炬燵(だるまごたつ)・猫炬燵(ねこごたつ)と呼ばれるものがそれである。手足を暖める移動用の炉である行火(あんか)と用途が同じであったため、後に小型の炬燵を行火と呼ぶようにもなったようである。