台 唐 (だいがら)

    萩の民具(10) 市報はぎ(平成3年)1991.2.1号掲載


     踏み臼のことを、萩周辺では台唐(だいがら)という。全国的には、同じ物を唐臼という所が多い。台唐は、台枠のある唐臼という意味のようである。
     使用の際は、台の上にあがり、中ほどで支えられた長い柄の片側の端を踏む。柄に体重をかけることで、子供でも杵を上下させることができた。台唐は主に精米に用いられた。寒の餅など大量に餅をつく際にも、利用されることがあったという。
     台唐が我が国で盛んに使用され始めたのが、だいたい江戸時代初め頃である。その名の示すように、大陸から伝来し普及したと考えられている。現在餅つき等で利用する横杵は、江戸時代中頃より使用され始めているが、台唐の杵の形に大きく影響を受けているとされる。
     松陰の書簡の中に史記等二十四・五葉を読む間に米(一臼)を精(しら)げ終える云々(うんぬん)と、自らが台唐を利用した旨の記述がある。農家に限らず、台唐を使用した経験をお持ちの方も多いと思う。