宅配便 7
タカラガイ調査の結果報告(2)
(16年2〜3月分)

倉江ノ浜でタカラガイを採集中の末武さんと上田さん
(16年2月27日)

 

当館のタカラガイ調査で初めて採れたアヤメダカラとカモンダカラ(左: 背面; 右: 腹面)

 

 

1■2〜3月のタカラガイ調査について

 「宅配便4」で昨年12月〜本年1月分のタカラガイ調査の結果を掲載しましたが、今回はそれに続き、2〜3月分を報告します。
 2〜3月の調査は、2月13日と27日、3月12日と29日におこないました。そのうち、2月13日と3月29日には末武晃さん(萩市在住)、2月27日には末武さんのほか高校生の上田明紀人さん(萩市在住)が朝早くから倉江ノ浜に来られ、タカラガイ採集を手伝ってくださいました。また、上田さんは調査結果のまとめも手伝ってくださいました。ここに記してお二人に感謝いたします。

2■カモンダカラとアヤメダカラ

 2月13日の調査の際、末武さんが「カモンダカラ」というタカラガイを採集されました。カモンダカラは熱帯西太平洋とインド洋に分布し、日本では房総半島以南の太平洋側と能登半島以南の日本海側から知られています1)。萩でも過去に何度も採集されていますが2)、当館のタカラガイ調査では初めての採集となります。なお、その後2月27日にもカモンダカラの破片を職員が採集しました。
 それから2月27日に、割れた個体でしたが「アヤメダカラ」という、これまた当館のタカラガイ調査では初めてのものを職員が採集しました。アヤメダカラも熱帯西太平洋とインド洋に分布し、日本の太平洋側では房総半島以南から知られていますが、日本海側ではここ山口県北部が北限とされています1)。なお、山口県ではこれまでに萩市見島と豊北町角島からしか報告されていなかったので2)、今回が山口県の本土側で初めての採集となります。
 これら2種が採集されたことにより、当館のタカラガイ調査によって倉江ノ浜から採集されたタカラガイは計12種となりました。

3■採れたタカラガイの内訳

 2〜3月中の調査ごとに採集されたタカラガイの種類と数を、前回の12〜1月分と合わせて整理したのが左下の表です。これまでの調査分を全部合わせて6545個体が採集されたことになりますが、その内訳は「メダカラ」が全体の95%強で圧倒的多数を占め、次いで「チャイロキヌタ」の3%弱、そして残りの10種は合わせてもわずか0.8%です。「宅配便4」でも述べましたが、この海のタカラガイ達の世界が「メダカラ王国」らしいことがさらに浮き彫りになりました。

4■今後の調査の予定

 今後も月2回ほど小潮の日に調査をおこないます。次回以降の調査の日程は下記の通りですので、朝、調査中の職員を見かけられましたら声をおかけください。


日 時:4月13日(火)、4月27日(火)、5月12日(水)、5月26(水)。朝7時から約1時間(小雨決行)。6月以降の日程は決まり次第このホームページでお知らせします。
場 所: 萩市倉江ノ浜 (県道64号・萩三隅線の道脇から小道を伝って砂浜に下りたあたり)


(平成16年4月1日作成)


参照文献
1) 堀 成夫, 2000: タカラガイ科. In: 奥谷喬司(編) 日本近海産貝類図鑑, 224-241. 東海大学出版会, 東京.
2) Hosaka, K., T. Irie & T. Sugimura, 1997: The family Cypraeidae (Caenogastropoda) of Yamaguchi Prefecture, western Japan. The Yuriyagai (Journal of Malacozoological Association of Yamaguchi), 5(1/2): 127-183.