○萩市活力のある地域産業をつくる条例
平成24年12月21日条例第37号
萩市活力のある地域産業をつくる条例
萩市は、山口県の北部に位置し、それぞれ地域特性のある旧1市2町4村からなり、地形は、全体として東部の中国山地から北西部の日本海に向かう傾斜地で、南部市境付近に標高700mを超える山々が連なり、緑あふれる山や清らかな川、青く透きとおった海など、農林水産資源に恵まれた自然豊かなところです。また、先人の英知と努力によって守られてきた貴重な歴史遺産や景観、伝統文化などが今なお残っており、地域の特性をいかした農林水産業や中小の事業者による多彩な商工業が営まれています。
このような様々な産業の事業者は、地域に根ざした経済活動を行うことによって、雇用及び所得の確保など地域経済の維持に貢献し、本市の発展及び市民生活の向上に大きな役割を果たしてきました。
しかしながら、少子・高齢化や過疎化の進行、さらには価値観の多様化に伴い、消費行動が複雑化する中、本市の経済情勢は依然厳しく、先行き不透明な状況です。
こうした時代にあって、本市が将来にわたり持続的な発展を遂げるためには、市民がふるさとへの愛着と誇りを持って、本市産業の重要性について理解を深めるとともに、本市で生み出された生産物及び製品の消費及び利用並びに事業者が提供するサービスの利用など自発的な取組を進めていくことが重要です。
ここに、私たち市民は、未来に向かって発展する萩市を目指して、市民、事業者、関係団体及び市が協働して、本市産業の振興に取り組むことを決意し、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、地産地消及び地産他商の推進による地域産業の振興について、基本理念を定め、市、事業者及び関係団体、並びに市民の役割を明らかにするとともに、地域産業の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、地域産業を育成し、もって活力ある本市の経済社会の形成及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 地域産業 市内で生産活動を営み、又はサービスの提供を行う産業をいう。
(2) 市産品等 次の各号のいずれかに該当するものをいう。
ア 市内で生産され、採取され、若しくは水揚げされた農林畜水産物及び、市内で製造され、若しくは加工された物品
イ 前号に掲げるものを原材料として製造され、又は加工された物品
ウ 市内で提供されるサービス
(3) 地産地消 市産品等を市域内で消費し、又は利用することをいう。
(4) 地産他商 市域外において、市産品等の販売促進を行うことをいう。
(5) 事業者 事業を行っている個人又は法人をいう。
(6) 関係団体 事業者の組織する団体又は地域産業の振興を目的とする団体をいう。
(基本理念)
第3条 地域産業を振興するための地産地消及び地産他商の取組は、市、事業者及び関係団体、並びに市民による協働の精神に基づき、自発的に行われることを旨として促進されなければならない。
2 地域産業を振興するための地産地消及び地産他商の取組は、地域における人、物及び情報の交流により経済を活性化させ、市産品等の需要の拡大及び事業者の育成を図ることを旨として促進されなければならない。
(市の役割)
第4条 市は、国及び県と連携を図り、事業者及び関係団体並びに市民と協力し、地域産業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に講ずるよう努めるものとする。
2 市は、事業者及び関係団体並びに市民が自発的な意思により地産地消及び地産他商に取り組む気運の醸成その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 市は、地域産業の振興に関する施策を推進するため、国、県等と連携し、必要な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。
(事業者及び関係団体の役割)
第5条 事業者及び関係団体は、市民及び市域外の消費者が市産品等に愛着を持つことができるよう情報の発信に努めるとともに、良質かつ安全で安心することができる市産品等を市民及び市域外の消費者に対して安定的に供給することができる体制を整備するよう努めるものとする。
2 事業者及び関係団体は、自主的かつ創造的な事業活動を行うとともに、地域産業が多様で活力あるものとして成長するよう努めるものとする。
3 事業者及び関係団体は、市産品等の生産、製造等に当たっては、他の市産品等の消費及び利用並びに地域産業に属する事業を行う者の利用の拡大に配慮するよう努めるものとする。
4 事業者及び関係団体は、その事業活動を行うに当たっては、環境に配慮するとともに、地域社会と協働し、地域の発展に資するよう努めるものとする。
5 事業者及び関係団体は、市が実施する地域産業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(市民の役割)
第6条 市民は、地域産業の振興が、地域経済の発展と市民生活の向上に寄与するものであることを理解し、地産地消及び地産他商の取り組みに関心を持つよう努めるものとする。
(基本的施策)
第7条 市は、地産地消及び地産他商を推進して地域産業を振興するため、次に掲げる施策を講じるよう努めるものとする。
(1) 生産者と消費者との交流の促進を図ること。
(2) 地域産業を支える幅広い人材及び後継者の育成並びに確保を図ること。
(3) 地域資源を活用する事業者の育成及び支援を図ること。
(4) 産学官や農商工等との連携による市産品等を活用した新たな商品開発の促進及び販路拡大の支援を図ること。
(5) 市産品等の地域ブランド化を促進するとともに、伝統技術の伝承及び発展を図ること。
(6) 地域の特性を生かした企業立地を促進し、次代を担う産業の集積を図ること。
(7) 農林水産業と食品産業との連携により、加工食品、外食及び学校給食等への利用を促進すること等により、市産品等の需要の拡大を図ること。
(8) 市産品等の需要に応ずるための産地の育成及び拡大並びに資源の維持及び確保を図ること。
(9) 市内で生産された木材及び間伐材その他の未利用の森林資源の利用の促進を図ること。
(10) 建設工事、物品等の発注に当たり、事業者の地域社会への貢献の状況、市の施策への協力の状況等に配慮して市内事業者の受注機会の確保を図るとともに、市産品等の活用を図ること。
(広報活動)
第8条 市は、地域産業の振興に資するため、地産地消、地産他商に対する市民の理解及び関心を深めるための広報その他の必要な措置を講じるよう努めるものとする。
附 則
この条例は、平成25年4月1日から施行する。