○萩まちじゅう博物館条例

平成17年3月6日

条例第100号

私たちのまち萩には、毛利藩政期260年間に形成された城下町のたたずまいや町割りなどが今なお残り、「江戸時代の地図がそのまま使えるまち」となっています。

萩の城跡や武家屋敷、町家、維新の志士の旧宅、寺院等は、それぞれが日本を代表する貴重な文化財であるとともに、城下町全体がかけがえのない姿で残されています。

更に、その傍らで近世そのままの空間が私たち市民によって住みこなされ、いたる所に息づいていることこそ、優れた都市遺産であると言えます。

ここに、私たち市民は、まちじゅうを博物館としてとらえ、この都市遺産を大切に保存・活用し、萩にしかない宝物を次世代に確実に伝え、「萩に住んで良かった」「萩を終(つい)の住処(すみか)にして良かった」と日々実感できるような魅力あるまちづくりに努めるとともに、萩を訪れた人々に萩の良さや歴史を、愛着と誇りを持って伝えることで、「萩は、日本の心のふるさと」と思われるような、そんなおもてなしをまちじゅうで推進することを決意し、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、本市のまちづくりの基軸となる萩まちじゅう博物館を推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 都市遺産 町並み、町家、文化財その他の歴史的環境及びその背景となる自然環境並びに市民生活の中で継承され、育まれた文化的な遺産をいう。

(2) まちじゅう博物館 萩のまち全体を一つの博物館としてとらえ、本市固有の都市遺産の保存及び活用を図ることをいう。

(市と市民の責務)

第3条 市と市民は、第1条の目的の達成を図るため、次の各号に掲げるところにより、まちじゅう博物館の推進に寄与するよう努めるものとする。

(1) 都市遺産の保存

 市は、萩の資源であり魅力である本市固有の都市遺産について研究し、都市遺産を形づくる歴史的環境や自然環境が破壊されることを未然に防止するよう努めるものとする。

 市は、市民との協働により、愛着と誇りをもって本市固有の都市遺産の保存に取り組むものとする。

 市と市民は、本市固有の都市遺産の保存について、広く他地域又は他国の人々の理解を得ながら賛同の輪を広げ、ワンコイントラスト(100円信託)運動等その信託により、歴史的環境及び自然環境の保全、保存、修復等を行うよう努めるものとする。

(2) 都市遺産の活用

 市は、保存された都市遺産を、できる限り現地において、その価値を損なわないよう展示するものとする。

 市は、展示に係る情報を発信することにより、市民が萩を再発見し、萩を訪れた人々もその新たな価値を見出し、活用できる仕組みを創り出すよう努めるものとする。

(3) その他

 市は、まちじゅう博物館の中核施設として萩博物館を位置付けるとともに、市内各地に散在する史跡、文化財等を地域博物館としてとらえ、それらを結ぶネットワークを構築するものとする。

 市は、他地域と萩、萩博物館と地域博物館、地域博物館と他の地域博物館等を結ぶ道路その他の交通アクセスの整備を図るものとする。

 市は、地域博物館の周辺に歴史・文化・自然の探索路として発見の小径を整備するものとする。

(館長)

第4条 まちじゅう博物館に館長を置く。

2 館長は、市と市民の協働によるまちじゅう博物館の事業を実施するとともに、萩博物館を総括し、その管理及び運営を行うものとする。

(行動計画の策定)

第5条 市は、まちじゅう博物館を推進するため、市と市民の基本的な行動計画として萩まちじゅう博物館行動計画を策定するものとする。

(推進委員会)

第6条 市と市民の協働によるまちじゅう博物館を推進するため、萩まちじゅう博物館推進委員会(以下「推進委員会」という。)を設置する。

2 推進委員会の組織及び運営について必要な事項は、推進委員会が定める。

(その他)

第7条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、市長が定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成17年3月6日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日前に、合併前の萩まちじゅう博物館条例(平成16年萩市条例第4号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。

萩まちじゅう博物館条例

平成17年3月6日 条例第100号

(平成17年3月6日施行)