○萩市河川環境保全条例

平成17年3月6日

条例第152号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 水質保全対策(第10条―第22条)

第3章 雑則(第23条―第28条)

附則

川は、人間の命の源である。深山に端を発し、やがて大きな流れとなり、多くの恵みを与えながら海へと注ぐ。

人々は、川を中心に文化を高め、産業を興して歴史を育んできた。

しかしながら、一方では近年の便利さや快適さの代償として河川の汚染という深刻な問題を残した。

21世紀は、「地域の時代、環境の時代」である。持続可能な循環型地域社会の形成が求められている今日、これまで私たちの先達が大切にし、守り育んできたこのかけがえのない河川を保全し、後世に引き継ぐことは、私たちに課せられた重大な責務である。

ここに、あらためて市民の英知と総力を結集し、河川の環境を守り育んでいくことを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、河川環境を保全するため、市、市民、事業者等の責務を明らかにするとともに、その他必要な事項を定め、もってきれいな水と美しい水辺環境の保全(以下「河川環境保全」という。)を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 河川 阿武川、大井川、庄屋川及び田万川並びにこれに接続する河川、湖沼、公共溝きょ、かんがい用水路その他公共の用に供される水路をいう。

(2) 生活排水 炊事、洗濯、入浴等市民の生活に伴い排出される水をいう。

(3) 事業排水 事業者の事業活動に伴い排出される水をいう。

(4) 浄化装置等 排出水の浄化に効果のある装置及び器具をいう。

(5) 対象事業場 次に掲げる工場又は事業場をいう。

 水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)第2条第2項に規定する特定施設を設置する工場又は事業場

 山口県公害防止条例施行規則(昭和48年山口県規則第46号)第7条第3号に規定する汚水等に係る施設を設置する工場又は事業場

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第8条第1項に規定する一般廃棄物処理施設又は同法第15条第1項に規定する産業廃棄物処理施設を設置する工場若しくは事業場

 その他市長が規則で定める工場又は事業場

(市の責務)

第3条 市は、河川環境保全のため、総合的な施策の実施に努めなければならない。

(市民の責務)

第4条 市民は、河川環境保全のため、河川の水質汚濁の防止に努めるとともに、市が実施する施策に協力しなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、河川環境保全のため、事業排水の適正な処理及び水質汚濁の防止に必要な措置を講じるとともに、市が実施する施策に協力しなければならない。

(滞在者の責務)

第6条 観光旅行者その他の滞在者は、その滞在に伴う河川環境への負荷の低減に自ら努めるとともに、市が実施する河川環境の保全に関する施策に協力しなければならない。

(連携及び協力)

第7条 市、市民及び事業者は、河川環境保全のため、連携を図り、相互に協力しなければならない。

(関係行政機関との連携等)

第8条 市長は、河川環境保全のため、関係市町村と連携を図るとともに、必要に応じて国、県その他の関係行政機関に協力を要請するものとする。

(啓発活動)

第9条 市長は、河川環境保全に関する知識の普及及び意識の高揚を図るため、啓発に努めるものとする。

第2章 水質保全対策

(生活排水の浄化の推進)

第10条 市長は、生活排水による河川の汚濁の防止に必要な施策を計画的に推進するものとする。

(生活排水の処理等)

第11条 市民は、生活排水を河川に排出しようとするときは、浄化装置等を設置して排出するよう努めなければならない。

2 浄化装置等の設置者は、浄化装置等が常に有効に機能するよう適正な管理を行わなければならない。

(投棄の禁止)

第12条 何人も、河川の汚濁の防止のため、みだりに空き缶、ペットボトル、ビニールごみ、吸い殻その他の廃棄物を河川に捨ててはならない。

(調理くず等の適正処理等)

第13条 何人も、河川の汚濁の防止のため、調理くず、廃食用油等を適正に処理し、並びに無りん洗剤及び石けん洗剤を使用するよう努めなければならない。

(農薬等の適正使用)

第14条 農薬又は化学肥料を使用する者は、これらを適正に使用し、河川の汚濁の防止に努めなければならない。

(家畜のふん尿の適正処理)

第15条 家畜その他の動物を飼育する者は、その動物のふん尿が河川に流出しないよう、処理施設の設置、土壌への還元等の方法により適正な処理に努めなければならない。

(事業排水の浄化)

第16条 事業者は、可能な限り再生利用等の方法により事業排水を河川に排出しないように努め、事業排水を河川に排出しようとするときは、法令等で定められた基準を遵守しなければならない。

(事前協議等)

第17条 河川の流域内において、対象事業場を設置しようとする事業者は、事業計画書を添えてあらかじめ市長に協議しなければならない。

2 市長は、事業者から前項の事前協議があったときは、速やかに関係市町村に情報提供を行うものとする。ただし、上流市町村への情報提供については、当該市町村長の同意を得てこれを省略することができる。

(協議事項の変更)

第18条 前条の規定による協議をした事業者は、その協議に係る事項を変更しようとするときは、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。

2 前条第2項の規定は、協議事項の変更について準用する。この場合において、同条第2項中「事前協議」とあるのは「協議事項の変更の届出」と読み替えるものとする。

(水質保全協定)

第19条 市長は、必要に応じて第17条の規定により協議をした事業者と水質の保全のために必要な事項を定めた協定(以下「水質保全協定」という。)を締結するものとする。

2 水質保全協定を締結した事業者は、これを忠実に履行しなければならない。

(水質調査及び公表)

第20条 市長は、必要に応じて河川の水質調査を定期的に実施し、その結果を公表するものとする。

2 市長は、前項の調査の結果、水質に異常が認められたときは、速やかに関係機関と協力し、適切な措置を講じるものとする。

(報告及び調査)

第21条 市長は、必要に応じて事業排水を排出する事業者から事業場、事業の実施状況その他必要な事項について報告を求め、又は職員を事業場その他の場所に立ち入らせ、その状況その他必要な事項を調査させることができる。

2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 事業者は、正当な理由がない限り、第1項の規定による報告及び立入調査を拒み、又は妨げてはならない。

(河川環境保全推進員)

第22条 市長は、河川環境保全を推進するため、河川環境保全推進員を設置することができる。

第3章 雑則

(勧告)

第23条 市長は、この条例の施行のため必要と認めるときは、市民又は事業者に対し、勧告することができる。

(命令)

第24条 市長は、前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなく当該勧告に従わないときは、期限を定めて当該勧告に従うべき旨を命じることができる。

(氏名等の公表)

第25条 市長は、前条の規定による命令を受けた者が正当な理由がなく当該命令に従わないときは、当該者の氏名等を公表することができる。

2 市長は、前項の規定により氏名等を公表するときは、あらかじめ当該者にその旨を通知し、弁明の機会を付与しなければならない。

(表彰等)

第26条 市長は、河川環境保全に著しく功労のあった者を表彰し、又はこの条例の目的達成のための活動を支援し、若しくは奨励することができる。

(その他の河川)

第27条 市、市民、事業者等は、第2条第1号に規定する河川以外の河川についても、水質を保全するよう努めなければならない。

(委任)

第28条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成17年3月6日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日前に、合併前の萩市河川環境保全条例(平成14年萩市条例第31号)、川上村阿武川水系環境保全条例(平成14年川上村条例第15号)、むつみ村河川環境保全条例(平成14年むつみ村条例第11号)、旭村阿武川水系環境保全条例(平成14年旭村条例第16号)又は福栄村河川環境保全条例(平成14年福栄村条例第17号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。

萩市河川環境保全条例

平成17年3月6日 条例第152号

(平成17年3月6日施行)