○萩市景観条例
平成19年6月29日
条例第23号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 景観計画(第6条・第7条)
第3章 景観法に基づく行為の規制等(第8条―第13条)
第4章 景観重要建造物及び景観重要樹木(第14条・第15条)
第5章 景観審議会(第16条―第20条)
第6章 表彰及び助成(第21条・第22条)
第7章 雑則(第23条)
附則
私たちのまち萩は、緑あふれる山や清らかな川、青く透きとおった海など豊かな自然に恵まれ、藩政時代の城下町、明治維新胎動の地として歴史と伝統に培われた文化を映しながら、先人の英知と努力によって現在の姿を形づくってきました。
かつて荘重な大名行列が練り歩き、維新の志士たちが駆け抜けた城下町は、当時の町割が今もなお残り、訪れる人々を魅了する都市遺産として萩ならではの景観を形成しています。また、周囲には海や田園そして里山など自然と人々の生活とが調和した空間が広がっています。
私たちは、この誇るべき歴史と美しい自然が織りなすふるさとの景観を守り、まちづくりを進めるとともに、市民共有の財産として後世に引き継いでいくことを決意し、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、良好な景観の形成に関する基本的な事項、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)第8条に規定する景観計画の策定の指針及び同法の施行について必要な事項を定めることにより、本市の自然、歴史、文化等と調和した美しく潤いのある景観を形成し、もって魅力的なまちづくりを推進することを目的とする。
(市の責務)
第2条 市は、良好な景観の形成に関する施策を総合的に策定し、及び計画的に実施する責務を有する。
2 市は、法その他の景観に関する法令による制度を積極的に活用し、良好な景観の形成に関する施策の実効性を高めるよう努めなければならない。
3 市は、道路、河川、公園、広場その他の公共施設等の整備を行うに当たっては、良好な景観の形成に先導的な役割を果たすものとする。
4 市は、必要があると認めるときは、国若しくは地方公共団体又は公共的団体等に対し、良好な景観の形成について協力を要請するものとする。
5 市は、良好な景観の形成に関する啓発及び知識の普及等を図るため、必要な施策を講じるものとする。
(市民の責務)
第3条 市民は、自らが良好な景観の形成の主体であることを認識し、自主的かつ積極的に良好な景観の形成に努めるものとする。
2 市民は、市が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、その事業活動に関し、自主的かつ積極的に良好な景観の形成に努めるものとする。
2 事業者は、市が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
(定義)
第5条 この条例において使用する用語は、特別の定めのある場合を除くほか、法において使用する用語の例による。
2 この条例において「工作物」とは、土地又は建築物に定着し、又は継続して設置される物のうち建築物並びに屋外広告物及び屋外広告物を掲出する物件以外のもので、規則で定めるものをいう。
第2章 景観計画
(景観計画の内容)
第6条 市長は、法第8条第1項の規定に基づき、市域全域を景観計画区域とする景観計画を定めるものとする。
2 市長は、景観計画に、景観計画区域内において歴史的景観を有する区域等良好な景観の形成に関する施策が特に必要と認められる区域を、次に掲げる地区に区分して重点景観計画区域として定めるとともに、当該重点景観計画区域における良好な景観の形成について必要な事項を定めるものとする。
(1) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第143条の規定に基づき市が指定した区域 伝統的建造物群保存地区
(2) 文化財保護法の規定に基づいて、国が指定した史跡を含む区域 史跡地区
(3) 歴史的に貴重な景観が象徴的に現われている区域 歴史的景観保存地区
(4) 新たに優れた都市的景観を形成すべき区域 都市景観形成地区
(5) 地区の特徴的な景観の保存及び形成が必要な区域 景観形成地区
3 市長は、景観計画に、前項に規定する重点景観計画区域以外の区域を一般景観計画区域として定めるとともに、当該一般景観計画区域における良好な景観の形成について必要な事項を定めるものとする。
5 市長は、第2項に規定する重点景観計画区域については、これを法第61条に規定する景観地区又は法第74条に規定する準景観地区に移行するよう努めるものとする。
(景観計画への適合)
第7条 建築物の建築等又は工作物の建設等を行う者は、当該建築物又は工作物を景観計画に適合させなければならない。
第3章 景観法に基づく行為の規制等
(法に基づき景観行政団体が定める届出対象行為)
第8条 法第16条第1項第4号に規定する条例で定める行為は、重点景観計画区域における次に掲げる行為とする。ただし、景観形成地区においては、当該行為のうち、規則で定めるものは適用しない。
(1) 土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘削その他の土地の形質の変更
(2) 木竹の伐採
(3) 夜間において公衆の観覧に供するため、一定の期間継続して建築物その他の工作物又は物件(屋外にあるものに限る。)の外観について行う照明の設置
(届出の適用除外等)
第9条 一般景観計画区域における法第16条第7項第11号に規定する条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(2) 建築物の外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更で、当該建築物の延べ面積が500平方メートル以下かつ高さが13メートル以下のもの及びこれらの行為による当該建築物の外観の変更の範囲が当該外観の2分の1以内であるもの
(3) 前2号に定めるもののほか、形態、意匠若しくは色彩が特異である建築物として規則で定めるもの以外の建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更
(4) 工作物(擁壁を除く。次号において同じ。)の新設、増築、改築又は移転で、当該工作物の総水平投影面積(増築にあっては、増築後の総水平投影面積)が500平方メートル以下かつ高さが13メートル以下のもの
(5) 工作物の外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更で、当該工作物の総水平投影面積が500平方メートル以下かつ高さが13メートル以下のもの及びこれらの行為による当該工作物の外観の変更の範囲が当該外観の2分の1以内であるもの
(6) 工作物(擁壁に限る。)の新設、増築若しくは改築、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更で、当該工作物の高さが2メートル以下のもの及び見付面積(増築にあっては、増築後の見付面積)が20平方メートル以下のもの
2 重点景観計画区域における法第16条第7項第11号に規定する条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 建築物の外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更で、これらの行為による当該建築物の外観の変更に係る部分の延べ面積が10平方メートル以下のもの
(2) 工作物の外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更で、これらの行為による当該工作物の外観の変更に係る部分の見付面積が10平方メートル以下のもの
(特定届出対象行為)
第10条 法第17条第1項に規定する条例で定める行為は、法第16条第1項第1号及び第2号に掲げる行為のうち、届出を要するもののすべてとする。
(勧告、命令等に係る手続)
第11条 市長は、法第16条第3項の規定に基づく勧告、法第17条第1項若しくは第5項の規定に基づく命令又はこの条例に基づく処分その他の行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、第16条に規定する審議会の意見を聴くことができる。
(勧告に従わなかった旨の公表)
第12条 市長は、法第16条第3項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
(空地等に係る要請)
第13条 市長は、景観計画区域内の空地、建築物又は工作物が、その区域に係る景観計画に適合せず、かつ、良好な景観を著しく阻害していると認めるときは、その所有者、占有者又は管理者に対し、これらの良好な景観の形成に配慮した利用又は管理を図るよう要請することができる。
第4章 景観重要建造物及び景観重要樹木
(景観重要建造物の指定の通知等)
第14条 市長は、法第19条第1項の規定に基づき景観重要建造物を指定したときは、直ちに、その旨を当該景観重要建造物の所有者に通知するとともに、遅滞なく、規則で定めるところにより、これを表示する標識を設置しなければならない。
(景観重要樹木の指定の通知等)
第15条 市長は、法第28条第1項の規定に基づき景観重要樹木を指定したときは、直ちに、その旨を当該景観重要樹木の所有者に通知するとともに、遅滞なく、規則で定めるところにより、これを表示する標識を設置しなければならない。
第5章 景観審議会
(景観審議会)
第16条 市長の附属機関として、萩市景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、この条例によりその権限に属するものと定められた事項を調査審議するとともに、市長の諮問に応じ、景観に関する事項を調査審議する。
3 審議会は、景観に関する事項について、市長に意見を述べることができる。
(組織)
第17条 審議会は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱し、又は任命する委員14人以内をもって組織する。
(1) 学識経験者
(2) 市民及び関係行政機関の職員
(委員の任期)
第18条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
(会長)
第19条 審議会に会長を置き、委員の互選により定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、委員のうちから会長があらかじめ指名する者がその職務を代理する。
(審議会の運営)
第20条 この章に定めるもののほか、審議会の運営について必要な事項は、審議会が定める。
第6章 表彰及び助成
(表彰)
第21条 市長は、良好な景観の形成に寄与していると認められる建築物、工作物、広告物その他の物件(以下「建築物等」という。)について、その建築物等の所有者、設計者、施工者等を表彰することができる。
2 前項に定めるもののほか、市長は、良好な景観の形成に貢献した個人又は団体を表彰することができる。
(助成)
第22条 市長は、良好な景観の形成のため必要があると認めるときは、規則で定めるところにより、助成を行うことができる。
第7章 雑則
(委任)
第23条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成19年12月1日から施行する。
(萩市都市景観条例の廃止)
2 萩市都市景観条例(平成17年萩市条例第233号。以下「旧条例」という。)は、廃止する。
(経過措置)
3 旧条例第2章に規定するもののうち、屋外広告物又は屋外広告物を掲出する物件に係る規定は、当分の間、この条例の施行後も、なおその効力を有する。
5 前2項に規定するもののほか、施行日前に旧条例の規定によりなされた処分、手続その他の行為については、なお従前の例による。
附則(平成31年1月4日条例第5号)
この条例は、令和元年7月1日から施行する。
附則(令和元年7月10日条例第2号)
この条例は、公布の日から施行する。