○萩市文化財保護条例
平成17年3月6日
条例第280号
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第98条第2項に基づき、市内にある文化財を保護顕彰し、かつ、その活用を図り、もって市民の文化的向上に資するとともに、我が国文化の進歩に貢献することを目的とする。
(文化財の定義)
第2条 この条例で「文化財」とは、法及び山口県文化財保護条例(昭和40年山口県条例第10号)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で次に掲げるものをいう。
(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で本市にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの及び考古資料(「有形文化財」という。)
(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で本市にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)
(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗習慣、民俗芸能及びこれに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で市民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(「民俗文化財」という。)
(4) 貝塚、古墳、城跡、旧宅その他の遺跡で本市にとって歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋りょうその他の名勝地で本市にとって芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で本市にとって学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
(財産権の尊重及び公益との調整)
第3条 萩市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の施行に当たっては関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
(指定)
第4条 教育委員会は、市内にある文化財のうち重要なものを萩市文化財保護審議会の審議を経て萩市指定文化財(以下「市指定文化財」という。)に指定することができる。
2 前項の規定による指定をするには、教育委員会は、あらかじめ指定しようとする文化財(無形文化財を除く。)の所有者及び権原に基づく占有者(所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合を除く。)の同意を得なければならない。
3 無形文化財を指定するに当たっては当該無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
4 前項の規定による指定をした後においても、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者として追加認定することができる。
(告示及び通知並びに指定書及び認定書の交付)
第5条 前条の規定による指定及び認定は、その旨を告示するとともに、当該市指定文化財の所有者若しくは権原に基づく占有者(以下「占有者」という。)又は保持者若しくは保持団体の代表者に通知する。
2 前条の規定による指定及び認定をしたときは、教育委員会は、当該市指定文化財の所有者若しくは占有者に指定書を、市指定無形文化財の保持者又は保持団体の代表者に認定したときは認定書を交付しなければならない。
(解除)
第6条 市指定文化財(無形文化財を除く。)が市指定文化財としての価値を失った場合その他特殊な理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
2 市指定無形文化財の保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められるとき、又は保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められるとき、その他特殊な理由があるときは、教育委員会は、当該保持者又は保持団体の認定を解除することができる。
3 市指定無形文化財の保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。)は、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、市指定無形文化財の保持者のすべてが死亡したとき、又は保持団体のすべてが解散したときは、当該市指定無形文化財の指定は解除されたものとする。
(管理方法の助言又は勧告及び管理責任者)
第7条 教育委員会は、市指定文化財の所有者、保持者又は保持団体に対し、市指定文化財の管理方法について必要な助言又は勧告をすることができる。
2 市指定文化財の所有者は、特別の事情があるときは、専ら自己に代わり当該市指定文化財の管理の責に任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。
3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、所有者は速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を変更解任した場合も同様とする。
4 管理責任者には第1項の規定を準用する。
(届出事項)
第8条 次の各号の場合には、所有者(管理責任者がある場合にはその者)、保持者又は保持団体の代表者は速やかに指定書又は認定書を添えて教育委員会に届け出なければならない。
(1) 市指定文化財の所有者が変更したとき。
(2) 市指定文化財の所有者、占有者又は保持者が、その氏名、名称若しくは住所を変更し、又は死亡したとき。
(3) 保持団体が、名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動が生じたとき。
(4) 市指定文化財の全部又は一部が滅失し、若しくは損傷し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたとき。
(5) 市指定文化財の所在の場所を変更しようとするとき(一時的な所在の場所の変更の場合を除く。)。
(6) 市指定文化財に係る土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があったとき。
(管理又は修理の補助)
第9条 市長は、市指定文化財の管理又は修理の経費に充てさせるため、当該市指定文化財の所有者、保持者又は保持団体に対し予算の範囲内でその全部又は一部を補助金として交付することができる。
2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会は、その補助の条件として管理又は修理について必要な事項を指示することができる。
3 教育委員会は、必要があると認めるときは、第1項の補助金を交付する市指定文化財の管理又は修理について指揮監督することができる。
(補助に係る市指定文化財譲渡の場合の納付金)
第10条 前条第1項の規定により補助金を交付された市指定文化財の所有者又はその相続人、受遺者若しくは受贈者は補助に係る修理等が行われた後当該市指定文化財を有償で譲り渡した場合においては、法第42条第1項、第2項及び第3項の規定を準用する。
(現状変更の制限)
第11条 市指定文化財についてその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響が軽微である場合は、この限りでない。
(技術的指導)
第13条 市指定文化財の所有者、保持者又は保持団体は、市指定文化財の管理又は修理について技術的な指導と助言を求めることができる。
(公開)
第14条 教育委員会は、市指定文化財の所有者、保持者又は保持団体に対し一定の期間に限って教育委員会の行う公開の用に供するため市指定文化財を公開することを勧告することができる。
(調査)
第15条 教育委員会は、必要があると認めるときは市指定文化財の所有者、保持者又は保持団体の代表者に対し、当該市指定文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。
2 教育委員会は、市指定文化財の指定をしようとするとき、その他必要があると認めるときは所有者の同意を得て調査を行うことができる。
(審議会の設置)
第16条 教育委員会に、萩市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(職務)
第17条 審議会は、教育委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関する事項について調査審議し、並びにこれらの事項について教育委員会に建議する。
(構成及び任期)
第18条 審議会は、18人以内の委員をもって組織する。
2 委員の任期は2年とする。ただし、補欠委員の任期は前任者の残任期間とする。
3 委員は、再任を妨げない。
(任命)
第19条 審議会の委員は、文化財に深い関心を有し学識経験のある者のうちから教育委員会が任命する。
(会長及び副会長)
第20条 審議会には会長1人、副会長1人を置く。会長及び副会長は委員の互選により定める。
2 会長は、会務を総理する。
3 副会長は、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
4 会長及び副会長の任期は、委員の在任期間とする。
(会議)
第21条 審議会は、会長が招集し、委員の半数以上の出席がなければ会議を開くことができない。
2 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは会長の決するところによる。
(委任)
第22条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、教育委員会規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年3月6日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日前に、合併前の萩市文化財保護条例(昭和35年萩市条例第26号)、川上村文化財保護条例(昭和55年川上村条例第8号)、田万川町文化財保護条例(昭和55年田万川町条例第12号)、むつみ村文化財保護条例(昭和52年むつみ村条例第29号)、須佐町文化財保護条例(昭和45年須佐町条例第1号)、旭村文化財保護条例(昭和51年旭村条例第10号)又は福栄村文化財保護条例(昭和46年福栄村条例第13号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。