○萩市伝統的建造物群保存地区保存条例
平成17年3月6日
条例第281号
(趣旨)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第143条第1項及び第2項の規定に基づき、本市が定める伝統的建造物群保存地区について、地区の決定及び現状変更の規制その他その保存のため必要な措置を定め、もって本市の文化的向上に資するものとする。
(定義)
第2条 この条例において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 伝統的建造物群 法第2条第1項第6号に掲げる伝統的建造物群をいう。
(2) 伝統的建造物群保存地区 法第142条に規定する伝統的建造物群保存地区(以下「保存地区」という。)をいう。
(保存地区の決定)
第3条 市長及び萩市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、本市の区域内に所在する伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存するため、保存地区を決定することができる。
2 前項の規定による決定をしようとするときは、あらかじめ、伝統的建造物群保存地区保存審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
3 保存地区を決定しようとする場合において必要があると認めるときは、住民等の意見を反映させるために公聴会の開催等の必要な措置を講じるものとする。
4 保存地区を決定したときは、その名称及び区域を告示しなければならない。
5 保存地区の決定は、告示することによりその効力を生じる。
(保存地区の取消し)
第4条 市長及び教育委員会は、保存地区がその価値を失った場合その他特殊の事由があるときは、当該地区の決定を取り消すことができる。
(保存計画)
第5条 市長及び教育委員会は、保存地区を決定したときは、審議会の意見を聴いて当該保存地区の保存に関する計画(以下「保存計画」という。)を定めなければならない。
2 前項の保存計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 保存地区の保存に関する基本計画に関する事項
(2) 保存地区内における伝統的建造物群を構成している建築物その他の工作物(以下「伝統的建造物」という。)及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件の決定に関する事項
(3) 伝統的建造物の保存整備計画に関する事項
(4) 伝統的建造物及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件に係る助成措置等に関する事項
(5) 保存地区の保存のため必要な管理施設及び設備並びに環境の整備に関する事項
3 市長及び教育委員会は、第1項の保存計画を定めるときは、これを告示しなければならない。
(現状変更行為の規制)
第6条 保存地区内における次に掲げる行為については、あらかじめ市長及び教育委員会の許可を受けなければならない。
(1) 建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の新築、増築、改築、移転又は除却
(2) 建築物等の修繕、模様替え又は色彩の変更でその外観を変更することとなるもの
(3) 宅地の造成その他の土地の形質の変更
(4) 木竹の伐採
(5) 土石類の採取
(6) 水面の埋立て
(7) 伝統的建造物であって建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第2号に規定する特殊建築物に該当するもののうち、文化財的価値を有するものとして内部を公開する用途に供するものの修繕、模様替え又は色彩の変更でその内部を変更することとなるもの
(1) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
(2) 次に掲げる工作物(建築物以外の工作物をいう。以下同じ。)の新築、増築、改築、移転又は除却
ア 仮設の工作物の新築、増築、改築又は移転
イ 水道管、下水道管、井戸その他これらに類する工作物で地下に設けるものの新築、増築、改築、移転又は除却
(3) 次に掲げる木竹の伐採
ア 間伐、枝打ち、整枝等木竹の保育のため通常行われる木竹の伐採
イ 枯損した木竹又は危険な木竹の伐採
ウ 森林病害虫等防除のための木竹の伐採
エ 仮植した木竹の伐採
(4) 前3号に掲げるもののほか、次に掲げる行為
ア 法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う行為
イ 山口県公安委員会及び道路管理者が行う道路標識等の設置又は管理に係る行為
ウ 農業を営むために行う行為。ただし、次に掲げるものを除く。
(ア) 建築物等の新築、改築、増築、移転又は除却(仮設の工作物を除く。)
(イ) 宅地の造成又は土地の開墾
3 市長及び教育委員会は、第1項の許可を与える場合には、保存地区の保存のために必要な限度において条件を付することができる。
(1) 伝統的建造物の増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の伝統的建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(2) 伝統的建造物の移転(同一保存地区内における当該伝統的建造物の移築を含む。以下この号において同じ。)については、移転後の伝統的建造物の位置及び移転後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(3) 伝統的建造物の除却については、除却後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(4) 伝統的建造物以外の建築物等の新築、増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の当該建築物等の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(5) 前号の建築物等の移転については、移転後の当該建築物等の位置及び移転後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(6) 第4号の建築物等の除却については、除却後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(8) 前各号に定めるもののほか、当該行為後の建築物等又は土地の用途等が当該伝統的建造物群の保存又は当該保存地区の環境の維持に著しい支障を及ぼすおそれがないものであること。
(1) 都市計画法(昭和43年法律第100号)による都市計画事業の施行として行う行為
(2) 都市計画法による県若しくは市又は当該都市計画施設を管理することとなる者が当該都市施設又は市街地開発事業に関する都市計画に適合して行う行為
(3) 道路法(昭和27年法律第180号)による道路の改築(小規模の拡幅、舗装、こう配の緩和、線形の改良その他道路の現状に著しい変更を及ぼさないものに限る。)、維持、修繕又は災害復旧に係る行為
(4) 法第27条第1項の規定により指定された重要文化財、法第78条第1項の規定により指定された重要有形民俗文化財、法第92条第1項に規定する埋蔵文化財又は法第109条第1項の規定により指定され、若しくは法第110条第1項の規定により仮指定された史跡名勝天然記念物の保存に係る行為
(5) 郵便差出箱の設置又は管理に係る行為
(6) 西日本電信電話株式会社等が行う公衆電気通信事業の用に供する線路又は空中線系及びこれらに係る電気通信設備を収容するための施設の設置又は管理に係る行為
(7) 公衆電話施設の設置又は管理に係る行為
(8) 電気事業法(昭和39年法律第170号)による電気事業の用に供する電気工作物の設置(発電の用に供する電気工作物の設置を除く。)又は管理に係る行為
(9) 水道法(昭和32年法律第177号)による水道事業又は下水道法(昭和33年法律第79号)による下水道の排水管若しくはこれを補完するため設けられるポンプ施設の設置若しくは管理に係る行為
(1) この条例又はこれに基づく処分に違反した者
(2) この条例若しくはこれに基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者
(3) 第6条第3項の規定により許可に付した条件に違反している者
(4) 偽りその他不正な手段により、第6条第1項の規定による許可を受けた者
2 市長及び教育委員会は、前項の規定により処分をし、又は必要な措置をとることを命じようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴き、かつ、当該処分又は措置を命ずべき者について聴聞を行わなければならない。
(損失の補償)
第11条 市は、第6条第1項の許可を受けることができなかったことにより損失を受けた者に対しては、通常生ずべき損失を補償するものとする。
(経費の補助等)
第12条 市は、保存地区内における建築物等及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件の管理、修理、修景又は復旧について、自ら保存のために適当な措置を行い、又は当該物件の所有者等に対し、その経費の一部を補助することができる。
(審議会)
第13条 教育委員会に審議会を置く。
2 審議会は、市長及び教育委員会の諮問に応じ、保存地区の保存等に関する重要事項について調査審議し、及びこれらの事項について市長及び教育委員会に建議するものとする。
3 審議会の委員の定数は16人以内とし、学識経験者、関係行政機関の職員、関係地域を代表する者等のうちから教育委員会が委嘱する。
4 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
5 審議会に必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
6 審議会に必要があるときは、専門部会を置くことができる。
(委任)
第14条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、市規則及び教育委員会規則で定める。
(罰則)
第15条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の罰金に処する。
(1) 第6条第1項の規定に違反した者
(2) 第10条第1項の規定に基づく命令に違反した者
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年3月6日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)前に、合併前の萩市伝統的建造物群保存地区保存条例(昭和51年萩市条例第21号。以下「合併前の条例」という。)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。
3 施行日前にした合併前の条例に違反する行為に対する罰則の適用は、合併前の条例の例による。
附則(平成17年7月12日条例第307号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成19年3月28日条例第14号)
この条例は、平成19年4月1日から施行する。
附則(平成22年9月30日条例第29号)
(施行期日)
1 この条例は、平成22年10月1日から施行する。
(萩市における伝統的建造物群保存地区の環境保存に資するため萩市税条例の特例を定める条例の一部改正)
2 萩市における伝統的建造物群保存地区の環境保存に資するため萩市税条例の特例を定める条例(平成17年萩市条例第62号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(萩市特別用途地区内の建築制限の緩和に関する条例の一部改正)
3 萩市特別用途地区内の建築制限の緩和に関する条例(平成17年萩市条例第236号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(萩市伝統的建造物群保存地区内における建築基準法の制限の緩和に関する条例の一部改正)
4 萩市伝統的建造物群保存地区内における建築基準法の制限の緩和に関する条例(平成17年萩市条例第237号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略