【第11回】 小橋筋



     小橋筋は、橋本町において主要街道であった往還道(現在の国道262号線)と交差します。小橋筋に沿って流れる藍場川もこの往還道と交わる訳ですが、かつての往還道は、石橋で藍場川を越えていました。以前は、この橋のことを、橋本川に架かる橋本大橋に対して、橋本小橋と呼んでいたそうです。橋本小橋に通ずる道筋というのが、通りの名前の由来なのかもしれません。
     藍場川は、橋本町の近くで、特に川幅が広くなります。この辺りが、かつては川舟の舟溜りになっていたようです。
     藍場川が川舟による薪炭等の輸送に利用されたことは、すでに幾度か触れました。川上村(現在の川上)などから阿武川を下ってきた川舟は、松本川を経て、川島樋の口から藍場川に入り、川沿い各所のハトバに舟を着けて荷物を下ろしました。そして、何ヶ所か設けてあった「舟まわし」で舟の方向を変え、藍場川を遡り、また樋の口から出て帰っていきました。
     商家が立ち並ぶ橋本町や御許町が近いこの舟溜りは、運んできた物を売りさばく舟や、帰りに積み込む様々な物を仕入れる舟が、数多く利用し、付近は大変に賑わっていたということです。橋本町には、これらの川舟に乗る人たちが、弁当などを食べる飲食店もあったといいます。
     また、かつては、藍場川沿いのハトバに着けてある川舟を、持主が行商にまわっている間などに、大川(橋本川、松本川)沿いまで回漕することを生業とする人があったといいます。この人たちのことも、舟まわしと呼んでいたそうです。

    (市報はぎ1997年2月15日号掲載)