萩市歴史的風致維持向上計画の認定について
平成20年11月4日に「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(通称:歴史まちづくり法)」が施行され、萩市では、本法律に基づく「萩市歴史的風致維持向上計画」を昨年12月2日に3省(文部科学省、国土交通省、農林水産省)に認定申請し、本計画が1月19日に中国地方で初めて認定されました。
なお、当日は主務大臣を代表して国土交通大臣より、主務大臣連名(文部科学大臣、国土交通大臣、農林水産大臣)の認定書を萩市長に直接交付されました。
- 歴史的風致とは
- 地域におけるその固有の歴史及び伝統を反映した人々の活動とその活動が行われる歴史上価値の高い建造物及びその周辺の市街地とが一体となって形成してきた良好な市街地の環境。
萩市歴史的風致維持向上計画の概要
萩市は多年にわたり歴史的遺産を守り、伝統文化を継承し、地域の誇りを育んできたところであり、特に町並み保存については、全国の先駆的な役割を担ってきました。この運動の一環として平成16年に「萩まちじゅう博物館」構想を立て、「NPO萩まちじゅう博物館」の皆さんを中心に市民と行政が一体となって構想実現に意欲的に取り組んでいます。こうした取組みを一層推進するために本計画を策定し、萩市の歴史的風致の維持向上を図っていくこととしています。
1 計画期間
平成20年度~平成29年度
2 歴史的風致の維持向上に関する方針
萩市における「歴史上価値の高い建造物等」、「歴史、伝統を反映した人々の活動」の状況を6項目で記載。
- 祭礼等城下の町内(まちうち)における歴史的風致~住吉祭、天神祭など
- 漁とその加工に関わる歴史的風致~シロウオ漁など
- 夏みかんに関わる歴史的風致~明治初年から今に伝わる夏みかん栽培
- 明治維新に関わる歴史的風致~明治維新の礎となった萩藩校明倫館や松下村塾等
- 信仰に関わる歴史的風致~各地区で行われている神楽舞など
- 茶道にみる歴史的風致~藩政期から今に伝わる萩の茶道文化
以上により、萩市における維持向上すべき歴史的風致は、現在の市民の生活や生業のなかで使いこなされ、住みこなされながら生きた遺産として受け継がれている祭礼などの伝統行事、萩焼の変わらぬ技法、豊かな自然の恵みや風土を活かした産業のあり方、先人が創り上げてきた文化、思想、さらには毛利の城下町や明治維新に関する貴重な歴史的価値の高い建造物とその周辺の市街地が一体となって形成してきた良好な市街地の環境である。
3 計画の重点区域
重点区域の名称:萩市歴史的風致保存区域~萩城下町及びその周辺、旧松本村及びその周辺
4 歴史的風致の維持向上のために必要な事項
- 市内に点在する文化財の保存、活用
- 歴史的風致維持向上施設の整備など
- 歴史的風致維持向上に資する事業
5 歴史的風致形成建造物の指定の方針
次の3つの事項を全て満たすものを歴史的風致形成建造物(国の支援を受けるためのコアとなる施設)として指定する。
- おおよそ昭和中期頃までに建造された萩の歴史上、文化上の価値を認められる様式を継承した建造物
- 意匠、技術等においてその価値の根拠や履歴等が明確であり、真正性が説明できるもので一定の条件に該当するもの(市指定文化財や景観重要建造物等)
- 所有者等により今後当該建造物の適切な維持管理が見込まれ、かつ、一般公開等の諸活動が継続的に行われる見込みのあるもの
◆計画している事業
No. | 事業名 | 位置 |
---|---|---|
1 | 唐樋札場跡整備事業 | 萩市東田町地内 |
2 | 萩城跡(内堀)水質浄化対策事業 | 萩市堀内地内 |
3 | 藍場川整備事業 | 萩市江向地内 |
4 | 堀内鍵曲道路整備事業 | 萩市堀内地内 |
5 | 高質空間形成施設(側溝美装化)整備事業(藍場川) | 萩市川島地内 |
6 | 既存建造物活用事業(玉木文之進旧宅:観光交流センター) | 萩市椿東地内 |
7 | 渡辺蒿蔵旧宅整備事業 | 萩市江向地内 |
8 | 萩藩校明倫館整備事業 | 萩市江向地内 |
9 | 観音院観音堂修理事業 | 萩市山田地内 |

国土交通大臣(右)より認定書を受け取る萩市長
認定を受けた5市の市長と国土交通大臣
■歴史まちづくり法の概要(平成20年5月23日公布、同年11月4日施行)
地域の歴史的風情、情緒、たたずまいといった良好な市街地の環境、すなわち歴史的風致が失われつつある。こうした状況を踏まえ、歴史的風致を維持向上するためのまちづくりを国が積極的に支援し、個性豊かな地域社会の実現を図り、都市の健全な発展及び文化の向上に寄与する目的で制定された。
具体的には、市町村が歴史的風致の維持、向上についての方針、重点区域、具体的施策を定めた歴史的風致維持向上計画を策定し、国はこの計画を認定することにより、歴史的に重要な施設(歴史的風致形成建造物)の復原・修理等や歴史的資産を活かしたまちなみ形成を支援する。
◆国の主な支援内容
・歴史的環境形成総合支援事業の創設
- 国の平成20年度予算額
- 7億3,000万円
- 対象地域
- 歴史的風致維持向上計画に定めた重点区域
- 事業主体
- 地方公共団体、民間団体等
- 補助率等
- ・コア事業~歴史的風致形成建造物の復原、修理、買取又は移設。補助率は、総事業費の1/2。
・附帯事業~歴史的風致形成建造物の周辺施設の整備や歴史的風致形成建造物を活用したソフト事業。補助率は、総事業費の1/3。
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