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第7話「放たれる寅」キーワード

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年2月13日更新

福堂策(ふくどうさく)

野山獄跡  下田踏海の後に、江戸伝馬町の獄に囚われていた体験をもとに、松陰が書いた野山獄の改革案です。一生出獄はできないとされていた野山獄ですが、獄内を囚人たちの自治に任せ、獄中で読書や写字、その他の学芸を身につけさせ、囚人を善人に、獄を「福堂」に変えようというものです。

「人賢愚ありと雖も各々十二の才能なきはなし
 湊合して大成する時は必ず全備する所あらん」

 「福堂策」に書かれた松陰のことば。「人には、それぞれ能力に違いはあるけれども、誰も一つや二つの長所をもっているものである。その長所を伸ばせば、必ず立派な人になれるだろう」という意味です。
 松陰は何の見通しも与えられないまま長く獄につながれていると「悪術」を企んでも「善思」を生ずる者がいないので、これでは「善治」とは言えないと述べます。そして、獄とはいたずらに罪人に苦しみを与えるのではなく、教育、更正の施設・福堂でなければならないと訴えます。
 ドラマでもあったとおり、人間を絶対的に信頼する松陰は、獄中で教育を実践するとともに、獄囚それぞれが得意な分野を講義しあうと交流も行われ、野山獄の風紀は一変していきます。
 (参考 田中彰「吉田松陰」、萩ものがたり「松陰先生のことば」)

二十一回猛士

 野山獄を出る松陰が夢に見た、「二十一回」の文字。ドラマでは、猛々しい振る舞いを21回やる、すでに3回成したので、残り18回、と宣言します。
 松陰が野山獄で書いた「幽囚録」の付録に収載された「二十一回猛士の説」によると、「夢に神人あり、与ふるに一刺を以てす。文に曰く、二十一回猛士と。忽ち覚む」と書かれています。つまり、夢に神が現れ、一枚の名刺を差し出されたが、それには二十一回猛士と書かれていた、という意味で、ドラマはここを演出していました。
姓の「吉田」は分解すると、「十一、十、口、口」となり、組み合わせを変えると「二十一回」となり、また、実家の「杉」も、「十、八、三」からできているため、松陰はこれを啓示と受け止め、「号」として使用するようになります。
 なお、すでに3回成したとありましたが、(1)東北脱藩行、(2)許可なく上申(建白書「将及私言」)、(3)下田踏海、と3つの法を犯したことを指しています。