萩市の北東部の江崎あたりは、巨大な天然の入り江「江崎湾」と萩市で３番目に大きな川「田万川」の河口をメインに、砂浜、磯、岬、崖、島、瀬などがいくつも連なり、海にこれほどバラエティ豊な環境がそろったエリアは萩市全体でも珍しいといえるでしょう。

　この海を舞台に、人々は延縄、一本釣り、潜水、定置網などを営んできました。なかでも塩通しのよい絶妙な場所に設けられた定置網には様々な魚介類が入るため、それらを見れば、江崎はもちろん萩全体の海の様子をうかがい知ることができると言っても過言ではありません。

　そこで本展では、定置網を中心に江崎で採れた魚介類から、代表的なものや珍しいものを少しずつ厳選して展示します。なかには、「なぜこの魚がここに？」と思うようなものもあります。それらを通じ、「萩の海の縮図」ともいうべき江崎の海の「今」を垣間見ていただくと共に、この海の「未来」に思いをはせ、考える機会としていただければ幸いです。

協力：山口県漁業共同組合江崎支店、江崎定置網