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萩市須佐・長門市青海島にて、日本海では珍しいハゼと共生エビをダイバーが発見

2006年12月26日

 

2001年以降、萩市須佐と長門市青海島でハゼ(3種)と、そのハゼと共生するエビ(1種)が断続的に発見されました。このたび詳しく調査した結果、それらは「熱帯性」のものであることがわかりました。

■発見された各種の概要
a) イトヒキハゼ
・2001年11月に長門市青海島(紫津浦)で、2004年9月に萩市須佐(須佐湾)で発見され、以降、両地で現在まで継続して目撃されています。
・千葉県・新潟県より南、インド洋・熱帯太平洋を中心に分布するハゼです。
No. 1「イトヒキハゼ」と「ニセオニテッポウエビ」
No. 1 「イトヒキハゼ」と
「ニセオニテッポウエビ」
イトヒキハゼ(下)の長さ:約10cm
萩市須佐・須佐湾:水深約5m
2006年12月6日
須佐リゾートダイビング提供
 
 
b) クサハゼ
・2004年8月に萩市須佐(須佐湾)で、2005年1月に長門市青海島(紫津浦)で発見され、以来、両地で現在まで継続して目撃されています。
・千葉県より南、熱帯太平洋を中心に分布するハゼで、当館が把握している限り、日本海からの正式な文献記録はありません。
No. 2「クサハゼ」と「ニセオニテッポウエビ」 
No. 2 「クサハゼ」と
「ニセオニテッポウエビ」 
クサハゼ(上)の長さ:約4cm
長門市青海島・紫津浦:水深約20m
2006年11月29日
吉村猛氏撮影
 
 
c) カスリハゼ
・2005年11月に萩市須佐(須佐湾)で、2006年10月に長門市青海島(紫津浦)で発見され、以来、両地で現在まで継続して目撃されています。
・千葉県より南、熱帯太平洋を中心に分布するハゼで、当館が把握している限り、日本海からの正式な文献記録はありません。
No. 3「カスリハゼ」と「ニセオニテッポウエビ」
No. 3 「カスリハゼ」と
「ニセオニテッポウエビ」
カスリハゼ(左)の長さ:約2cm
萩市須佐・須佐湾:水深約5m
2006年10月4日
須佐リゾートダイビング提供
No. 4「カスリハゼ」
No. 4 「カスリハゼ」
長さ:約3cm
長門市青海島・紫津浦:水深約20m
2006年11月29日
中島賢友氏撮影
 
d) ニセオニテッポウエビ
(写真No.1, 2, 3)
・上記3種のハゼそれぞれと共生しているエビ。エビが砂底に巣穴を掘るかわりに、ハゼは巣穴の入口で「見張り役」をおこない、危険が近づくとエビに知らせます。
・水中写真を林健一博士(水産大学校名誉教授)に送って調べていただいた結果、本種であることが判明しました。
・本種を含むテッポウエビ類は熱帯域を中心に分布するグループで、日本海からは正式な文献記録はありません。

※上記のうち、須佐のものは水深5m付近で「須佐リゾートダイビング」の関係者の方々により、青海島のものは水深20m付近で「ダイビングショップ・シーアゲイン」の関係者の方々によって発見・確認されたものです。

■発見の意義と今後の展望
萩をふくむ山口県の日本海沿岸では、1980年代末から水温が上がり、それを追うように「熱帯性」の生物の出現が頻発しています。このたびのハゼ・エビもその一例と考えられます。
今後、萩博物館では近海の水温の変動に伴ってこれらのハゼ・エビの生息状況がどのように変化するか、専門家やダイバーの方々と連携して観測していきたいと考えています。